配当金や株主優待を目的に株式投資を行っても、日々の株価の変動は気になるものです。長期投資であっても身銭を切って投資しているので、株価が気になるのは仕方ありません。
株価の変動は、企業業績のみならず日本そして世界経済全体の流れからも大きな影響を受けます。そして株価の変動は、株式のリターンに大きな影響を与えます。
よって配当や優待を目的に株式に投資した場合でも、「株価の値上がり・値下がり」は株式のリターンとしては欠かすことができない要因です。
今回は東京エレクトロン(8035)について、配当金と株価をあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン※」を確認します。
なお、東京エレクトロンは2023年4月1日付で普通株式1株を3株に株式分割しているため、今回は分割後で試算を行います。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※株式分割の影響は全て遡及修正して株価を調整しています。
【注目記事】「商船三井・日本郵船・川崎汽船」が2024年3月期の配当金予想を公表。これまでの配当金と株価推移や株主優待、リスクとは?
1. 東京エレクトロンの配当金のリターンはいくらか。2024年3月期の配当金予想も公表へ
東京エレクトロンの株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2023年3月期の中間配当と、2023年3月期の期末配当」の計2回を受け取ることができます。
なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。
今回の検証では、以下のような想定となります。
- 株式の取得日:2022年5月12日
- 株式の取得価格:1万7999円(取得日の終値)
- 2023年3月期・中間配当:285円※
- 2023年3月期・期末配当:284円※
- 100株ベースの配当金のリターン:5万6900円
※2023年4月1日付で普通株式1株を3株に株式分割したため、分割後で調整。
また、東京エレクトロンは2024年3月期の配当金予想を、分割後基準で中間128円、期末で192円、合計320円となっています。
なお、東京エレクトロンには株主優待制度は設けられていません。
そのため、優待のリターンは0円です。
2. 東京エレクトロンの株価変動のリターンはいくらか
次に、株価変動によるリターンを計算します。
- 株式の取得日:2022年5月12日
- 株式の取得価格:1万7999円(取得日の終値)
- 取得から1年後の日付:2023年5月12日
- 1年後の株価の終値:1万6395円
- 100株ベースの株価変動によるリターン:▲16万400円
3. 東京エレクトロンの株式投資のトータル・リターンはいくらか
そして最後に、トータル・リターンを計算します。
- 配当金のリターン:5万6900円
- 株主優待のリターン:0円
- 株価変動によるリターン:▲16万400円
- トータル・リターン(金額ベース):▲10万3500円
- トータル・リターン(%ベース):▲5.8%
トータル・リターンは金額ベースで▲10万3500円でした。
4. 東京エレクトロンの配当金の推移を確認
東京エレクトロン株式の年間リターンは▲5.8%でした。
最後に東京エレクトロンの配当金の推移を確認しましょう。
配当金・株主優待・株価とそれぞれ分解して株式のリターンを確認すると、どの要素がリターンに影響を与えているか一目瞭然となります。
配当金や株主優待を目的に長期視点で投資した場合でも、株価水準を確認して、株式全体としてのリターンも把握しておきましょう。
参考資料
石井 僚一