株式を買う際、配当や優待だけでなく、気になるのが「株価の変動」でしょう。

配当や優待を受けとっていても、株価の変動は社会情勢や企業業績などによって時に大きく動き、リターンに影響を与えるもの。

株式投資において、「株価の値上がり・値下がり」は見逃せない要因です。

日本郵船は「2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」にて、23年3月期の連結経常利益を1兆1097億円(前期比+10.6%)と公表しました。

出所:日本郵船株式会社「2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

一方で、24年3月期の予想は2000億円(前期比▲82.0%)としています。

出所:日本郵船株式会社「2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

今回は日本郵船(9101)に視点をあて、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン※」を確認します。

なお、日本郵船は2022年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っているため、今回は株式分割後で試算を行います。

※株式分割の影響は、株価や配当金、株式数など全て遡及修正して株価を調整しています。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。

【注目記事】オリエンタルランド(4661)の株「1年前に買った人」トータル・リターンはいくらか【株主優待・配当金・株価】(2023年5月第1週)

1. 日本郵船(9101)の配当金のリターンはいくらか

日本郵船の株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2023年3月期の中間配当と、2023年3月期の期末配当」の計2回を受け取ることができます。

出所:日本郵船株式会社「2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。

今回の検証では、以下のような想定となります。

  • 株式の取得日:2022年5月9日 
  • 株式の取得価格:3240円(取得日の終値)
  • 2023年3月期・中間配当:350円※
  • 2023年3月期・期末配当(会社予想):170円
  • 100株ベースの配当金のリターン:5万2000円

※株式分割により調整

それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。

2. 日本郵船(9101)の株主優待のリターンはいくらか

日本郵船は決算期(3月31日)現在、100株以上保有する方に向けて、飛鳥クルーズの優待割引券を提供しています。

株数に応じて、「決算期後の7月1日より翌年9月30日までのクルーズ」で「優待割引券1枚につき1クルーズ1名様10%の割引」が利用できます。

  • 100株以上 1500株未満:3枚
  • 1500株以上 3000株未満:6枚
  • 3000株以上:10枚

今回は試算のために2023年5月24日出港の「博多発 初夏の博多・神戸クルーズ」で客室タイプ「K:ステート」を利用していた場合を考えると12万2500円となり、概算で1枚1万2250円の経済価値と想定します。

そのため、優待のリターンは3万6750円です。

3. 日本郵船(9101)の株式投資のトータル・リターンはいくらか

以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。

次に、株価変動によるリターンを計算します。

  • 株式の取得日:2022年5月9日
  • 株式の取得価格:3240円(取得日の終値)
  • 取得から1年後の日付:2023年5月9日
  • 1年後の株価の終値:3168円
  • 100株ベースの株価変動によるリターン:▲7200円

そして最後に、トータル・リターンを計算します。

  • 配当金のリターン:5万2000円
  • 株主優待のリターン:3万6750円
  • 株価変動によるリターン:▲7200円
  • トータル・リターン(金額ベース):+8万1550円
  • トータル・リターン(%ベース):+25.2%

トータル・リターンは金額ベースで:+8万1550円でした。

4. 日本郵船の過去の配当推移を確認

日本郵船の株式の年間リターンは+25.2%でした。

株価は下落したものの、配当金と株主優待で利益となりました。

一方で、日本郵船は2024年3月期の配当金予想を中間で60円、期末で60円、年間で120円としています。

これまでの日本郵船の配当金推移は以下の通りとなっています。

出所:日本郵船株式会社「配当・株主優待」

株価や株主優待、配当金、また業績もあわせて見て投資を考えることが大切でしょう。

参考資料

宮野 茉莉子