2. 【おひとりさま女性】厚生年金15万円(額面)でもがっかりな理由とは

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厚生年金受給者の中でも、たった1割ほどしか存在しない15万円超えの女性。ねんきん定期便などで「見込額15万円」を確認して、老後15万円の年金収入を想定してライフプランを考える方もいるかもしれません。

しかし、年金にも「税金や保険料」の支払いがあります。

年金から天引きされる金額は、年金所得や住所地によって異なります。より具体的にイメージしていただけるよう、ここでは東京都八王子市に住む女性(76歳)を例に見ていきましょう。

※厚生年金以外の収入がないケースを想定しています。

2.1 厚生年金から天引きされる税金(所得税・住民税)

厚生年金が月額15万円の場合、年間収入は180万円です。年金しか収入がない女性は、所得税として4623円、住民税として1万6500円が天引きされます。

  • 所得税:4623円
  • 住民税:1万6500円

2.2 厚生年金から天引きされる介護保険料

厚生年金の年間受給額が18万円以上の場合、介護保険は強制的に年金から天引きされます。八王子市の場合、年金収入が180万円の方の介護保険料は年額7万9400円となります。

  • 介護保険料:7万9400円

2.3 厚生年金から天引きされる健康保険料

年金から天引きされる健康保険料は、「国民健康保険」か「後期高齢者医療制度」かによって異なります。75歳以上の方は後期高齢者医療制度に該当するため、今回の事例となる76歳の女性の場合、後期高齢者医療制度の保険料が天引きされます。

東京都後期高齢者医療広域連合の所得割率と均等割額を用いて計算すると、保険料は年間約4万8800円です。

  • 後期高齢者医療制度の保険料:4万8800円

2.4 厚生年金15万円の場合、手取り額はいくらなのか

天引きされる税金や保険料を合計してみましょう。

  • 所得税:4623円
  • 住民税:1万6500円
  • 介護保険料:7万9400円
  • 後期高齢者医療制度の保険料:4万8800円

合計:14万9323円

年間で約15万円もの税金や保険料が天引きされます。

手取り額は、(額面)180万円-(税金・保険料)15万円=165万円となり、月額では手取り約13万7000円となります。

※概算なので実際の金額とは異なります。また天引きされる金額は年度途中に決まるため、1年を通して同じ手取り金額になるとは限りません。

15万円あると思っていた年金が手取りで13万円台になってしまうのです。年金収入が中心となる老後生活において、約2万円近くの差は大きいですよね。毎月15万円の収入を確保したい場合には、差額の2万円分を貯蓄などから取り崩す必要があります。

貯蓄から毎月2万円を取り崩す場合、年間で24万円、10年で240万円、20年で480万円になります。毎月15万円の収入でやり繰りができれば、不足分は貯蓄でまかなえますが、老後は医療や介護など不足の事態への備えも重要です。

年金の手取り額を考慮した上で、老後に向けたマネープランを検討する必要があるでしょう。