2023年の年金額は3年ぶりの増額改定となりましたが、マクロ経済スライドによる調整のため実質的な目減りになりました。厳しい年金財政や物価上昇のニュースを聞くと、老後が不安になる人も多いでしょう。
このような社会情勢の中で、2024年から新NISAが始まる予定です。私たちは1人につき1800万円の大きな非課税枠を得ることになるのです。
今回は新NISAの改正のポイントと、iDeCoとあわせた老後資金のための活用の仕方を紹介します。GW最後のこの時期に新NISAを利用した老後資金準備について考えてみましょう。
新NISAで現行制度と異なる主なポイント7つ
最初に新NISAで現行制度と異なる主なポイントを紹介します。
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出所:金融庁「新しいNISA」
ポイント1.非課税期間が無期限に
現行のNISAはつみたてNISAが最長20年、一般NISAが最長5年の非課税期間がありました。
新NISAでは非課税期間が撤廃され、無期限になります。非課税期間が無期限になることでより長期の運用が可能になり、少額でも長期間続けることでまとまった資産形成が期待できます。
また、非課税期間終了によるロールオーバーなどの対応を考える必要がありません。
ポイント2.制度そのものも無期限に
現行制度は一般NISAが2023年まで、つみたてNISAは2042年まで期間限定でした。新NISAは制度が恒久化され、期限がなくなります。いつから始めても期限を気にせずに運用できるようになります。
ポイント3.非課税投資枠の大幅な拡大
新NISAでは年間の非課税投資枠が大幅に引き上げられます。現行のつみたてNISAの40万円から新NISAのつみたて投資枠は120万円、一般NISAの120万円から成長投資枠は240万円になります。
ポイント4.非課税保有限度額の新設
新NISAでは制度と非課税期間が無期限化される代わりに、個人ごとの非課税保有限度額1800万円(買付金額ベース)が新設されます。このうち、成長投資枠は1200万円までとなっています。
ポイント5.売却して空いた非課税枠の再利用が可能に
現行NISAは保有する資産の売却は自由にできますが、空いた非課税枠の再利用はできませんでした。新NISAでは売却後に非課税枠が復活し、再度買付ができます。
そのため、非課税保有限度額1800万円以上の非課税投資も可能になるのです。
ポイント6.つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能に
現行NISAでは一般NISAとつみたてNISAはどちらか一方しか利用できませんでしたが、新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。投資信託の積立をしながら株式投資も、非課税でできるようになるわけです。
また、併用によって年間の非課税投資金額は両枠の合計360万円となります。
ポイント7.成長投資枠の投資対象は一般NISAから一部除外される商品も
新NISAのつみたて投資枠の投資対象は現行のつみたてNISAを基本的にそのまま引き継ぎます。しかし、成長投資枠では一般NISAの投資対象から除外される商品があるため、注意が必要です。
上場株式では整理・監理銘柄が対象外となります。投資信託では高レバレッジ型や毎月分配、信託期間20年未満の商品が除外されます。
【新NISA活用法】老後資金向けに会社員・自営業者・専業主婦別に確認
老後資金準備には新NISAの他に、iDeCo(個人型確定拠出年金)という専用の制度があります。iDeCoと組み合わせた新NISAの活用法を、会社員・自営業者・専業主婦ごとに紹介します。
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出所:国民年金基金連合会「iDeCo(イデコ)の特徴」
新NISAとiDeCo活用法1.会社員の場合
会社員の老後資金準備では、掛金が全額所得控除になるiDeCoのほうがNISAよりやや有利です。
しかし、会社員のiDeCoの掛金の上限は多い人でも月額2万3000円です。また、加入できる期間も長くても65歳までです。加入期間によってはわずかな金額しか積立てられないかもしれません。
新NISAでは、年間360万円全枠を積立投資できます。毎月5万円老後資金準備に回せる人なら、iDeCoで毎月2万3000円投資してNISAで2万7000円というような積立投資も可能です。
iDeCoに加入できなくなってからは、全額をNISAで運用するとよいでしょう。
新NISAとiDeCo活用法2.自営業者の場合
自営業者の公的年金は国民年金のみの「1階建て」のため、会社員よりも老後資金準備の必要性が高いといえます。
そこで、2階部分をiDeCoで、さらにNISAで3階部分を作れたら老後の不安も解消されるでしょう。2階部分には国民年金基金という選択肢もあります。
しかし、国民年金は物価上昇に追いつかない点を考えると、同じくインフレに対応できない国民年金基金よりiDeCoのほうが有利ではないでしょうか。
NISAもiDeCoもリスクがあり、受取金額は運用成果次第ではありますが、長期・積立・分散投資によってリスクが軽減されるため、堅実な資産形成が期待できます。
老後のために毎月10万円積立てるとして、iDeCoを上限の6万8000円積立て、NISAは3万2000円積立てるような資金の振り分けが考えられます。
新NISAとiDeCo活用法3.専業主婦の場合
専業主婦もiDeCoに加入できますが、収入のない人には掛金が所得控除になるメリットがありません。よって、専業主婦の老後資金準備にはNISAが適しています。
夫のお金で運用しても年間110万円までは贈与税の対象にならず、自分名義の財産を作れます。
老後資金を準備するための新NISAの商品選びのヒント
新NISAでは、つみたて投資枠でも成長投資枠でも期限のない積立投資ができます。
つみたて投資枠の投資対象は、バランス型ファンド以外では基本的に株式に100%投資するものになります。つみたて投資枠ではバランス型ファンドを活用しないと、たとえば債券などの資産のみへの投資はできないのです。
しかし、株式100%での運用は、老後資金準備としてはリスクが高すぎるといえます。
そこで、最初からバランス型ファンドで運用するのが選択肢の1つです。
さらに、新NISAでは成長投資枠の商品も選べます。成長投資枠で債券100%の投資信託があるとしたら、株式100%の投資信託と組み合わせることもできます。今後の動向を確認しましょう。
新NISAを賢く活用して老後資金を準備しましょう
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現行NISAでの老後資金準備は主につみたてNISAが利用されやすいですが、年間の非課税投資枠が40万円、非課税保有限度額800万円と十分な金額とはいえませんでした。
しかし、新NISAでは1人1800万円もの非課税保有限度額となります。
今回はiDeCoとの組み合わせを紹介しましたが、運用次第では新NISAだけで老後資金2000万円の準備も不可能ではないでしょう。自分に合った活用方法で老後資金を準備していきましょう。
参考資料
- 日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について」
- 金融庁「新しいNISA」
- 国民年金基金連合会「iDeCoの仕組み」
- 国民年金基金連合会「iDeCo(イデコ)の特徴」
- 国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」
松田 聡子
