シニア世代の就業はお金だけが目的ではない?
公的年金の受給年齢が実質引き上げられたことから、定年を迎えたシニア世代がそれ以降も就業する割合が増加傾向となっています。
もちろん、老後に備えて就業している人もいますが、就業に「生きがい」を感じて、働き続けている人も一定数いるようです。
内閣府のまとめた、「シニア世代の人が仕事をしている理由」に関する調査データによると、約半数は「収入がほしいから」という理由でした。
しかし、次いで多かった理由として「働くのは体によいから、老化を防ぐから」「仕事そのものが面白いから、自分の知識・能力を生かせるから」といった内容も挙げられました。
働いていた頃は、生活のほとんどの時間を「仕事」が占めていたため、定年退職をして仕事がなくなると、仕事の楽しさを改めて実感するのかもしれません。
人生100年時代を迎えようとする現代において、老後の資金準備だけでなく、残された余生をいかに充実できるものにするかを考えることも大切になると考えられます。
老後の資金シミュレーションとライフスタイルを検討しておこう
本記事では、60歳代の貯蓄額について解説していきました。
60歳代単身世帯・二人以上の世帯の貯蓄額を見ると、どちらも2000万円には到達しておらず、2000万円貯蓄している人の割合のほうが少ないと言えます。
とはいえ、単身世帯・二人以上の世帯共に約7割の人が、老後の資金が準備できていないことを大きな理由として「老後が心配である」と回答していることから、老後の安心材料としてある程度の貯蓄はしておくことをおすすめします。
「そろそろ老後資金について考えたい」という方は、自身の貯蓄額や受給予定の年金額、いつまで働くかなどを、シミュレーションしておくと良いでしょう。
参考資料
- 金融審議会「市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」
- 総務省「統計からみた我が国の高齢者」
- 内閣府「 令和2年版高齢社会白書(全体版)第1章 高齢化の状況(第3節 1-2)」
太田 彩子