2. 老後に必要な生活費 と収入

70歳代の貯蓄額は、世帯により違いがありますが、中央値では800万円でした。

では、老後の貯蓄額は800万円で十分といえるのでしょうか。

総務省統計局が公表している「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支 」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支は以下のとおりです。

出所:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支 」

2.1 老後に必要な生活費

  • 消費支出:22万4436円
  • 非消費支出:3万664円
  • 合計:25万5100円

今の生活とそんなに変わらない人もいるのではないでしょうか。

老後は現役時代と違ってそんなに派手な生活をしなければ支出を減らせると考えていた人もいると思います。

しかし、生活水準を下げることは難しく、現役時代と変わらないのが実情です。

2.2 老後の収入

老後生活の柱となるのが公的年金です。

年金受給額は、現役時代の働き方や、年金加入期間、年収などにより決定するため、個人差があります。2023年4月分からの公的年金(月額)の例は以下の通りです。

出所:日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について」

  • 国民年金:6万6250円
  • 厚生年金:22万4482円(国民年金部分を含む)

※厚生年金は、平均標準報酬526万8000円/年で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と夫婦二人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

老後の平均的な支出額が25万5100円/月ですので、毎月、厚生年金で3万618円、国民年金だと18万8850円の赤字となります。

70歳代の貯蓄額中央値である800万円で考えると、厚生年金は約22年、国民年金は約3年で貯金が底をつくことになります。

年金受給額やライフスタイルにより個人差はありますが、老後、日々の生活費だけでも赤字となる可能性があることがわかりました。自宅のメンテナンスや、医療費などの支出も考慮して、安心して老後を過ごせるだけの貯蓄をしておきたいですね。