4. 貯蓄3000万円あれば老後資金は足りる?4月分からの厚生年金と国民年金額は
70歳代で3000万円以上の貯蓄があれば老後資金は足りるのでしょうか。毎月受給する厚生年金と国民年金で生活費をカバーでき、大きな出費に備えて3000万円以上の貯蓄があれば安心かもしれませんね。
2023年4月からの厚生年金と国民年金の受給額は2022年度よりも増額されており、以下の通りです。
4.1 2023年度「厚生年金と国民年金」年金額例
- 厚生年金:22万4482円/月(モデル夫婦の金額。二人分の国民年金を含む)
- 国民年金:6万6250円/月
では、老後の生活費は平均いくらかかるのでしょうか。総務省の「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、1カ月の生活費は65歳以上の夫婦のみの世帯では約24万円、単身世帯では約14万円かかります。
厚生年金を受給している世帯では1ヵ月約22万5000円を受給できるので、1ヵ月の生活費を24万円とすると2万円程の赤字となります。やりくりの仕方によっては赤字を出さずに済むかもしれませんね。
しかし、自営業や個人事業主などで国民年金のみの受給となる世帯では、夫婦で約13万円が平均受給額となるため、毎月11万円程の赤字となってしまう可能性があります。
単身世帯においては約7万円の赤字となる計算です。
もちろんこれらは統計をもとにした平均額であり、実際の金額は世帯により異なります。しかし、今後の年金受給額がどのように変化するかはわからないため、できるだけの貯蓄を心がける必要があるでしょう。
特に、国民年金のみの受給となる世帯では、早めに老後資金の準備を始めておくことが大切といえます。
5. 70歳代の貯蓄と老後資金のまとめ
70歳代で貯蓄3000万円以上ある世帯は、二人以上世帯で18.3%、単身世帯で16.1%です。
貯蓄方法は預貯金や株式、生命保険、投資信託などさまざまな金融商品で準備しているようです。
十分な貯蓄額を保有している場合でも、老後の生活水準や実際の年金受給額などによっては貯蓄を切り崩さなければならないこともあるため、余裕を持たせた資産形成をすることが望ましいでしょう。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果」
- 総務省「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」
木内 菜穂子