4. 繰下げ受給を選択する人の割合は
ではどれほどの人が繰り下げ受給を選んでいるのでしょうか。
厚生労働省「 [年金制度の仕組みと考え方] 第11 老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給」によると、受給開始時期の選択を終了した70歳の受給権者を対象として、令和2年度の老齢年金の繰下げの利用状況を見ると、老齢基礎年金の繰下げ受給者数は0.5万人で全体の2.6%、老齢厚生年金の繰下げ受給者数は2.6万人で全体の1.6%となっています。
現在は、繰下げ受給を選ぶ人はまだ少ないようです。
繰下げ受給の選択で、月々の受給額が増えることはわかっていても、65歳以降のリタイヤ後の収入がない場合には年金受給を始めるほか選択肢はそう多くありません。
しかし今後の人生100年時代を見据えて、「高年齢者雇用安定法」の一部改正(2021(令和3)年4月施行)で、70歳までの就業を確保することが努力義務となりました。
このことから寿命の延びとともに長くなると思われる老後の生活を安定させる手段として、働いて収入を得ることが選択肢のひとつとなり得ます。
働いて収入を得ている間は年金を受給せずに生活し、繰下げ受給を選択する人が今後は増えていく可能性があります。