老後に向けた資産形成
伸びる健康寿命と変容する年金制度を鑑みると、これからの老後生活は、全く新しいものとなるでしょう。
ここまで検証してきた現行の老後生活の収支は、社会背景の違いから、参考にできないかもしれません。
個々の状況によって老後の生活スタイルは大きく異なるため、お手本となるモデルを提示することは難しいですが、ある程度の資産を持つほうが良いことに変わりはないでしょう。
老後の資産形成に向けて、代表的な2つの運用方法を紹介します。
iDeCo
iDeCoとは、個人型確定拠出年金の通称で、自分で自分の年金を作り上げるための制度です。以前のような年金の給付が難しくなり始めた頃から、政府が推奨し始めました。
毎月自分で決めた掛け金をiDeCo口座へ積み立てつつ、定期預金や債権、投資信託を組み合わせて運用します。
iDeCoの掛け金は所得控除の対象にもなるため、住民税と所得税の節税にもなります。
基本的に60歳まで引き出すことはできませんが、老後の資産形成という目的であれば特にデメリットとはならないでしょう。
NISA
NISAとは、NISA口座の運用で獲得した収益を非課税にする制度です。
最近では、投資のことを調べるとまっさきに出てくるワードになっているため、概要を知っている人も多いのではないでしょうか。
一般NISAとつみたてNISAのどちらかを選ぶことができ、一般NISAは、非課税投資枠が年間120万円まで、非課税期間は5年間です。
つみたてNISAは、非課税投資枠は年間40万円までで非課税期間は20年間となっています。
iDeCoのように60歳まで引き出せない、という決まりはありませんので、お金に余裕がある時に集中的に投資するなど、柔軟な資産運用を考えている人に向いています。
ただし2024年に新NISAが始まるため、制度は大きく変わる予定です。
老後に向けた資産形成を
将来のお金の計算ばかりしていて、今の生活が充実せずに心配事ばかり先立ってしまうのは本末転倒です。
しかし、どのような生活が待っているのか、おおよそでも予想できていれば、多少の準備や心構えもできます。
新しい時代が到来しても、ある程度の資産を持っておくと心強いものです。
出来得る限りの資産形成は、できるだけ早い時期から取り掛かってみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「2019年全国家計構造調査 所得に関する結果及び家計資産・負債に関する結果 結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査(家計収支編)」2022年版
LIMO編集部