60~65歳で定年になっても、その後は長い老後が待っています。
健康寿命を延ばし、楽しく日々を過ごそうと思えば、それなりのお金が欲しいと感じるものです。
年金だけでは足りないと感じれば、自分らしく働き、稼ぎたいという方も多いのではないでしょうか。
今回は、高齢期に働くときに知っておきたい在職老齢年金の基準額について解説します。
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1. 【在職老齢年金制度】支給停止額が47万円から48万円に引き上げ
60歳以降も会社員として働く場合、「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計額が47万円を超えると、年金が減額されたり、支払停止されたりすることを「在職老齢年金制度」といいます。
47万円というのは、在職老齢年金制度の支給停止調整額ですが、2023年(令和5年)4月から48万円に引き上げられます。
在職老齢年金制度の支給停止調整額は、厚生年金保険法第46条第3項の規定により、名目賃金の変動に応じて改定されるためです。
2. 在職老齢年金制度とは
在職老齢年金制度により、「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計額が基準額を超えると、年金が減額されたり、支払停止されたりします。
「基本月額」とは、60歳以上になったら支給となる「特別支給老齢厚生年金」を12か月で割った年金額のことです。
また、「総報酬月額相当額」とは、毎月の給与額と、直近1年間に受け取った賞与を合計し、12か月で割った金額をいいます。
会社から受け取る給料や賞与と、老齢厚生年金の合計が48万円を境に、老齢厚生年金がカットされるかどうか決まります。
2.1 総報酬月額相当額が48万円を超えた場合の計算
ここでは「基本月額+総報酬月額相当額」が48万円を超える場合の減額について確認してみましょう。
- 厚生年金の基本月額:10万円
- 総報酬月額相当額:50万円
- 合計額:60万円
支給停止額の計算式は、以下の式を使います。
- (基本月額+総報酬月額相当額-48万円)÷2
- (10万円+50万円-48万円)÷2=6万円
毎月もらえる年金から6万円が減額され、実際に受け取る厚生年金は4万円になります。
厚生年金を減額されず10万円もらいたいと思えば、総報酬月額相当額を38万円以内におさめる必要があり、年収は約456万円になります。
給与などが途中で増えれば、総報酬月額相当額も変わるので、支給停止や減額される可能性があります。
また、60歳以降の収入によっては、雇用保険から、高年齢雇用継続給付が支給されることがあります。次は、制度について簡単に説明します。
3. 雇用保険から支給される高年齢雇用継続給付とは
高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満の方のうち、それまでの雇用保険での被保険者期間が5年以上ある場合で、60歳以降の賃金が60歳時点と比較して75%未満になっているなどの条件を満たすと受給できる給付金です。
高齢の方が受取る給付金は2種類あり、失業したときの基本手当を受け取っていない方が対象になる「高年齢雇用継続基本給付金」と、基本手当を受け取った方が再就職した際、対象になる「高年齢再就職給付金」があります。
給付金の額は、60歳以後各月に支払われた賃金の原則15%となります。ただし、賃金の低下率によっては、15%を上限にして支給率も変動します。
実際の高年齢雇用継続給付の支給限度額は36万4595円であり、最低限度額は2125円です(令和4年8月1日以後支給分)。
2つの高年齢雇用継続給付について以下に詳しく説明します。
3.1 高年齢雇用継続基本給付金
雇用保険の被保険者期間(かつて基本手当をもらったことがある方は、それ以後の期間が対象)が通算して5年以上ある被保険者で、60歳以後も継続して雇用され、60歳以後の各月に支払われる賃金が、原則60歳に到達した時点での賃金月額の75%未満である方が対象です。
3.2 高年齢再就職給付金
会社を辞め、失業していたときに基本手当をもらい60歳以後に再就職をして、支払われる賃金が基本手当の日額を30倍した額の75%未満となった方で、さらに次の3つの要件を満たした方が対象になります。
- 基本手当について、算定基礎期間が5年以上あること
- 再就職した日の前日に基本手当の支給日数が100日以上あること
- 安定した職業に就き、被保険者になったこと
4. 老齢厚生年金と高年齢雇用継続給付の併給調整について
在職老齢年金をもらいながら、高年齢雇用継続をもらうことは可能ですが、高年齢雇用継続の給付額に応じて、年金の一部が支給停止される場合があります。
併給調整の際にカギとなるのは、60歳到達時点の賃金月額に対する標準報酬月額の割合です。
高年齢雇用継続給付の手続きは事業所の担当者が行うことになります。ご自身がもらう年金についての詳しい相談をしたい場合、相談先は住所を管轄する年金事務所が窓口になります。
5. 在職老齢年金制度を意識した働き方
高齢になってくると、在職老齢年金や高年齢雇用継続給付など、さまざまにもらえるお金がありますが、60歳時点の賃金月額や標準報酬月額などで変化します。
この機会に、自身がどのような働き方を今後希望し、どのくらいの収入を維持したいのか考えておくとよいでしょう。




