9月30日を基準日とする株主優待や配当の権利が近づき、個人投資家の関心は次第にこの時期に集まりつつあります。
3月期決算企業にとって9月末は中間期にあたり、配当や株主優待を同時に受け取れる銘柄が多いタイミングでもあります。
今回取り上げる日本航空<9201>(JAL)も、まさに9月30日が次回の株主優待基準日にあたる銘柄の一つです。
同社は8月3日に2027年3月期第1四半期(4~6月期)決算を発表しており、この記事では、稼ぎ頭の事業がどのように今回の数字を作ったのかを最新決算からひも解いたうえで、9月末に迫る株主優待の条件を解説します。
1. 燃油高騰で減益も、旅客単価は伸長
2027年3月期第1四半期の連結決算は、売上収益が5,237億円(前年同期比11.2%増)となった一方、財務・法人所得税前利益(EBIT)は127億円(同72.1%減)、最終利益は53億円(同80.2%減)と大幅な減益となりました。
主な要因は航空燃油費の急騰です。中東情勢の緊迫化を背景に、航空燃油費は前年同期の940億円から1,488億円へ58.4%増加し、営業費用全体を押し上げました。
もっとも、需要そのものが弱いわけではありません。国際線旅客のイールド(旅客収入をRPK〈有償旅客キロ〉で割った単価)は1キロあたり16.7円から19.6円へ16.9%上昇し、国内線も19.5円から20.7円へ6.0%上昇しました。燃油サーチャージの引き上げなど機動的な価格戦略により、単価面での収益力はむしろ高まっている格好です。
通期予想(売上収益2兆950億円、EBIT1,800億円、純利益1,100億円)に対する1Q時点の進捗率は、売上収益で約25%、EBITで約7%、純利益で約5%にとどまります。
ただし夏の行楽シーズンにあたる第2四半期以降に需要が集中しやすい季節性を踏まえると、この進捗率の低さだけで通期計画の達成可否を判断するのは早計といえます。実際、同社は通期の業績予想・配当予想(1株96円、第2四半期末48円・期末48円)を据え置いています。
1.1 稼ぎ頭のフルサービスキャリア事業、閑散期の1Qは赤字に
JALグループは、旅客・貨物輸送を担う「フルサービスキャリア事業」「LCC事業」に加え、JALカードやマイレージサービスを手がける「マイル/金融・コマース事業」の3事業で構成されています。
通期のセグメント別EBIT計画を見ると、フルサービスキャリア事業が1,040億円と突出して大きく、LCC事業(130億円)やマイル/金融・コマース事業(510億円)を大きく上回ります。つまり、通期ベースでの稼ぎ頭は明確にフルサービスキャリア事業です。
燃油費の急騰の影響を最も大きく受けたことで、この1Qは稼ぎ頭のフルサービスキャリア事業のEBITが8億円の赤字(前年同期は307億円の黒字)となりました。前年同期の307億円の黒字から一転しての赤字であり、燃油費というコスト要因の重さがうかがえます。
一方で、マイル/金融・コマース事業のEBITは120億円(前年同期比17.6%増)と伸びを維持し、グループ全体の黒字を下支えしました。JALカード取扱高の増加や海外金融事業者との提携拡大により、非航空領域での収益基盤が着実に積み上がっていることがうかがえます。
フルサービスキャリア事業についても、前述のとおり単価面での収益力は伸びており、燃油費というコスト要因さえ落ち着けば、稼ぎ頭としての本来の収益力を取り戻す土台は保たれていると考えられます。