年金の話は「月いくら」で語られることがほとんどです。ただ、実際には20年、30年と続く収入ですから、総額で見ると印象が変わります。

本記事では、2026年度の年金額改定と年代別の平均受給額を確認したうえで、月5万円を10年受け取った場合の総額を額面と手取りの両方で試算します。

徳田 椋
将来の年金を総額で見ると、終身で受け取れる年金は老後を支える大切な社会保障だと分かりますね。同時に、長期的に見ると額面と手取りの差が積み上がることにも気づきます。月額で見ると小さく感じる差ではありますが、一度総額に直してみましょう。

1. 2026年度の年金改定。国民年金1.9%、厚生年金2.0%の増額

2026年度の年金額は、国民年金が前年度比1.9%増、厚生年金(報酬比例部分)が同2.0%増の増額改定となりました。国民年金は満額・1人分で月額7万608円、厚生年金はモデル夫婦世帯・2人分で月額23万7279円です。

改定率だけを見ると小さな変化に思えますが、押さえておきたいのは、額面と手取りには毎年度ひらきが生じるという点です。年金からも税金と社会保険料が差し引かれます。

2. 【年金一覧表】60歳から89歳までの「平均受給額」と男女差

いまのシニア世代が実際にどの程度の年金を受け取っているかを、年代別の一覧で確認します。なお、厚生年金の月額には国民年金部分が含まれます。

2.1 60歳代は厚生年金14万円台、国民年金6万円台から始まる

60歳代の厚生年金額1/4

60歳代の厚生年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

65歳から69歳にかけての平均年金月額は、厚生年金が14万円台から15万円台、国民年金は6万円台です。64歳までは繰上げ受給や特別支給の老齢厚生年金の対象者が含まれるため、やや低めの数字になります。

2.2 70歳代は厚生年金15万円前後で横ばい

70歳代の厚生年金額2/4

70歳代の厚生年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

70歳代の平均年金月額は、厚生年金が14万円台から15万円台、国民年金は5万円台から6万円台。60歳代後半とほぼ変わらない水準で推移します。

2.3 80歳代になると厚生年金は16万円台まで上がる

80歳代の厚生年金額3/4

80歳代の厚生年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

80歳代の平均受給額は、厚生年金が15万円台から16万円台、国民年金は5万円台後半です。ただし、これらはあくまで各年齢の平均であり、実際の受給額は現役時代の働き方や保険料の納付状況によって一人ひとり異なります。

2.4 厚生年金は男女で約6万円の差、国民年金は差が小さい

全年齢の受給権者で見ると、厚生年金の平均年金月額は15万289円ですが、男女別では次のとおりです。

  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

厚生年金は現役時代の給与水準と加入期間が反映されるため、男女で約6万円の差が生じています。一方、保険料が定額の国民年金は、男女差も個人差も比較的小さいのが特徴です。