老後の収入は、実際どのくらいの水準なのか。令和8年版の高齢社会白書に、高齢者世帯の所得をまとめた表が載っています。
白書によると、高齢者世帯の平均所得金額(令和5年の1年間の所得)は314.8万円で、その他の世帯の671.0万円の約5割です。そして、公的年金・恩給が家計収入の全てとなっている世帯が43.4%を占めています。
この記事では所得の実態を数字で確かめたうえで、次のページで年金と生活費の差を見ていきます。
1. 【高齢社会白書】高齢者世帯の平均所得は314.8万円。年金だけが収入という世帯が43.4%を占める
平均、分布、そして構成。同じ所得の話でも、見る角度で受ける印象が変わります。順に確かめます。
1.1 平均所得は、その他の世帯の約5割
高齢者世帯の平均所得金額は314.8万円です。その他の世帯は671.0万円ですから、およそ半分の水準になります。
ここでいう高齢者世帯とは、65歳以上の者のみで構成するか、またはこれに18歳未満の者が加わった世帯です。その他の世帯とは、全世帯から高齢者世帯と母子世帯を除いた世帯を指します。
1.2 一人あたりで見ると、差は7割まで縮まる
世帯の人数が違えば、同じ所得でも意味が変わります。高齢者世帯の平均世帯人員は1.52人、その他の世帯は2.60人です。
そこで世帯人員の差を調整した等価可処分所得で見ると、高齢者世帯は226.0万円で、その他の世帯の336.1万円の約7割になります。総額では5割でも、一人あたりでは7割です。少ない人数で分けているぶん、見え方が変わります。
1.3 最も多いのは100万円から150万円の層
分布を見ると、また別の姿が出てきます。高齢者世帯の所得階層別分布では、100万円から150万円が最も多くなっています。
平均の314.8万円は、この最も多い層の倍以上です。所得の高い世帯が平均を引き上げているため、真ん中にいる世帯の実感とは離れます。平均所得を見て自分の老後を想像すると、多くの人は上振れした像を描くことになります。
1.4 年金だけが収入という世帯が43.4%
そして最も重い数字がこれです。公的年金・恩給を受給している高齢者世帯について、公的年金・恩給の総所得に占める割合別の世帯数の構成割合を見ると、公的年金・恩給が家計収入の全てとなっている世帯が43.4%を占めています。
4割を超える世帯が、年金以外の収入を持っていないということです。働いて得る収入も、家賃収入も、仕送りもない。年金額がそのまま家計の上限になります。
1.5 「年金+α」の前提が成り立たない世帯がある
老後の家計を試算するとき、年金にいくらか上乗せがある前提を置きがちです。少し働く、貯蓄から取り崩す、家族から援助を受ける。
ただ、43.4%という数字は、その上乗せが実際には無い世帯が相当数あることを示しています。想定していた副収入が入らなければ、生活費を年金額の範囲に収めるか、取り崩しの速度を上げるかのどちらかになります。
1.6 同じ白書が、働き続ける人の増加も示している
一方で、白書の別の図は、65歳以上の就業者数が22年連続で前年を上回っていることも示しています。年金だけで暮らす世帯が4割を超える一方で、働き続ける人も増えている。
平均という一つの数字の下で、年金だけの世帯と、働いて上乗せしている世帯に分かれつつあるということです。どちらに入るかで、必要な貯蓄額はまったく変わります。
1.7 確かめるのは平均ではなく、自分の見込額
平均所得314.8万円という数字を見て、自分の老後もそのくらいだろうと考えるのは危うい読み方です。この数字には、まだ働いている世帯も、資産収入がある世帯も含まれています。
確かめるべきは、自分の年金見込額と、年金以外にいくら入る見通しがあるかのほうです。では、その年金で生活費はどこまで賄えるのか。次のページで具体的な金額を確認します。個別の見込額は、お近くの年金事務所に確かめてください。
なお、65歳以上単身無職世帯の収支と、年金生活者支援給付金については、下記の記事より一部を引用・参照しています。

