2. その年金で、生活費はどこまで賄えるのか

ここまで、高齢者世帯の平均所得が314.8万円であること、最も多い層は100万円から150万円であること、そして公的年金が収入の全てという世帯が43.4%を占めることを見てきました。では、その年金で毎月の支出は足りているのでしょうか。

2.1 単身無職世帯では、月に約3万円足りない

家計調査は、収入と支出の両方を示しています。

総務省「家計調査報告(家計収支編)」2025年(令和7年)平均によると、65歳以上の単身無職世帯の実収入は月13万1456円、消費支出は14万8445円でした。

出所:LIMO「老後資金1000万円は危険水域?年金だけでは足りない現実と延命策を公的資料から確認する」

差額は月2万9980円です。年金収入だけでは、毎月およそ3万円が足りない計算になります。年に直せば36万円ほど、10年で360万円です。

2.2 不足を埋める給付金がある

この不足に対して、要件を満たせば上乗せされる給付金があります。

日本年金機構によると、老齢年金生活者支援給付金の令和7年度の基準額は月額5620円です(前年度の5450円から170円の増額)。

出所:LIMO「老後資金1000万円は危険水域?年金だけでは足りない現実と延命策を公的資料から確認する」

支給要件は3つです。65歳以上で老齢基礎年金を受けていること、世帯全員の市町村民税が非課税であること、前年の年金収入とその他所得の合計が80万9000円以下(昭和31年4月2日以後生まれの場合)であることです。基準額を超えても一定の範囲内であれば、補足的老齢年金生活者支援給付金が支給される場合もあります。

2.3 給付金は不足の2割弱にあたる

月2万9980円の不足に対して、月5620円の給付金がどれだけ効くか。単純に比べれば、不足の2割弱にとどまります。

制度として無意味というわけではありません。年に6万7440円ですから、10年で67万円を超えます。ただ、これだけで不足が消えるわけではない、という位置づけです。

2.4 1ページ目の43.4%と重ねて読む

ここで1ページ目の数字に戻ります。公的年金が収入の全てという世帯が43.4%あり、そのうえで単身無職世帯の収支は月約3万円の赤字です。

年金以外の収入がない世帯にとって、この赤字は貯蓄の取り崩しで埋めるしかありません。取り崩しのペースが決まれば、貯蓄が何年もつかも決まります。

2.5 要件は細かいが、確かめる価値はある

年金生活者支援給付金の要件は、住民税非課税であることや前年の所得の合計額など、やや細かく設定されています。自分が当てはまるかどうかは、案内が届いてから判断することになります。

該当する人には日本年金機構から請求書が送られますが、請求しなければ支給されません。1ページ目で見たとおり、年金だけで暮らす世帯は4割を超えます。該当する可能性は小さくありません。

2.6 足りない額を先に出しておく

老後資金がいくら必要かという問いに一般解はありません。ただ、年金見込額と生活費の差が月いくらになるかは、いまの時点でも計算できます。

その差が月3万円なのか7万円なのかで、備える金額は倍以上変わります。年金の見込額はねんきんネットやねんきん定期便で、給付金の該当可否は年金事務所やお住まいの市区町村の窓口で確かめてください。

参考資料

LIMO編集部年金解説班