先進国株が小安く終わった1週間

先週(2017年7月24日-29日)の世界の株式市場は、先進国株がやや下落し、一部の新興国株がしっかりという展開になりました。主要市場の週間騰落率は、現地通貨ベースで上海総合が+0.5%、米S&P500が▲0.0%、TOPIXが▲0.5%、独DAXが▲0.6%となりました。

日米独を円ベースで見ると、先週に引き続き円が対ドルで円高に、対ユーロで円安になったため、独DAXが▲0.2%、米S&P500が▲0.4%、TOPIXが▲0.5%となりました。日本の投資家にとっては、TOPIXよりも海外先進国株のほうがましだったとまとめられる週でした。

先週は内外の決算が佳境に入りましたが、マクロ面では米国の連邦公開市場委員会(FOMC)と4-6月期のGDP速報値が最大の材料でした。結果を見ると金融政策は現状維持となり、量的緩和の縮小を9月に討議するという観測が市場では支配的になったようです。

また4-6月のGDP成長率は1-3月期に比べて加速したものの数値は予想通りでした。他の欧米の経済指標をみると勢いの落ちているものもありますが全体として高い水準で推移しています。先々週急低下した主要国の長期金利は先週反転上昇しています。

物色動向を見ると、好決算を示した米国の通信セクターが上げ、ボーイング、キャタピラーなどが上昇しました。一方、ナスダック総合指数も週間で若干下落しており、気になるFANG株もフェイスブックが上げる一方でアルファベット、アマゾン、アップルがともに下落しました。決算を通過してこれらの株価がやや重たく感じられる週になりました。

アウトルック:アップル決算、米雇用統計、米国予算のゆくえをにらむ1週間に

先週の気になる動きとして指摘したいのは、下落を続ける米ドルと米国の予算をめぐる膠着状態です。市場全体の動きを俯瞰してみると、このドル安は米国の利上げ見通しの後退と言える部分もありますが、オバマケア改廃の行き詰まりや国境税導入の断念など、トランプ政権の経済運営のカギとなる減税策の不透明感が高まっていることも織り込み始めたと思えます。

株価の値動きが穏やかだったわりに恐怖指数(VIX)が週間で+10%上昇したことも、市場の警戒感の高まりをにじませています。

今週(2017年7月30日-8月4日)は、アップルの決算と米雇用統計を控えます。先週はボーイング、キャタピラーなどに買いが集まりましたが、これまでの決算がコンセンサスを上まわる結果になったものが多いにもかかわらず、上昇銘柄の裾野があまり広がっていないという印象がぬぐえません。

市場の警戒感が低下して、テクノロジー株が落ち着いてさらに資本財あたりがしっかりしていくのか、あるいは市場の警戒感が高止まりし業績に安心感が出た通信株が選好されてしまうのか、注目を続けたいと考えます。先週しっかりだった新興国株も米国株が落ち着いてこその上昇です。米国、とくに米国の予算の行方がカギを握る時期に来ました。

椎名 則夫