日本製鉄(5401)の株価は2023年に入って堅調に推移しており、2022年12月30日に2292円だったところから、2023年2月28日時点では3037円と32.5%も上昇しました(いずれも終値ベース)。

日本製鉄の株価推移(202年12月30日~203年2月28日)1/3

日本製鉄の株価推移(202年12月30日~203年2月28日)

出所:各種資料をもとに筆者作成

その背景には、厳しい市況環境でありながら、史上最高益となる強固な収益基盤や財務基盤を示したためと考えられます。

また、安定した業績を背景とした増配も好感されていると思われます。今回は日本製鉄の株価が堅調な背景について見ていきましょう。

※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※株式分割の影響は全て遡及修正して株価を調整しています。

【注目記事】「商船三井の株を1年前に買った人」その魅力的なリターンはいくらか【株主優待・配当金・株価】(2022年12月第5週)

1. 【日本製鉄の株価】厳しい事業環境下においても安定的な収益を獲得できる基盤の形成

鉄鋼の市場は足元厳しい環境が続いています。世界的な原料高がある中で粗鋼生産が停滞、さらに日本の場合は2022年の秋口以降の円高も、鉄鋼業の業績に対してはネガティブ要因となります。

しかし、日本製鉄は2022年度3Qの決算において、厳しい局面でも充分な利益を獲得できる強固な事業基盤を築いていることを示しています。

日本製鉄では本業の実力を図る指標として「在庫評価損益などを除いた実力ベースの利益」を公表していますが、2022年度は前年度比同等の6900億円を見込んでいます。

前回2022年11月時点の「2022年度2Q決算」の見通しでは、厳しい環境を背景に対2021年度実績でマイナスとなる見通しだったところ、強固な収益基盤をもとに見通しを上方修正しました。

2. 【日本製鉄の株価】市況の変動に負けない強固な財務基盤の構築

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Golden Dayz/shutterstock.com

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決算説明書にて市況の説明がある通り、鉄鋼は一般に鉄鋼をはじめとした市況動向の影響を受けやすい業界です。その分、厳しい環境に耐えられる強固な財務基盤の構築が期待されます。

日本製鉄は2022年度3Q決算で発表した通期の見通しで、最終損益を6700億円と過去最高益を見込んでいます。

さらに資産圧縮などにより財務体質を改善し、D/Eレシオを0.5まで回復する見通し。それでありながらROEは近年18〜20%と、過去と比較して高水準を維持する想定です。

このように2022年度3Qの決算発表では、健全な財務体質と事業の効率性を両立した強固な事業基盤を維持する見通しを示しました。

厳しい事業環境の中でも安定的に事業が継続されると期待されたことが、日本製鉄の株高に繋がったものと考えられます。

3. 【日本製鉄の株価】過去最高の年間180円への増配発表

史上最高益が期待される中で、株主へ積極的に還元する姿勢を見せたことも、株高を後押ししたと考えられます。

日本製鉄は2022年度3Q決算と同時に、期末の配当を90円とすることを発表しました。中間配当90円と合わせると、通年の配当額は180円になる予定ですが、これは日本製鉄の過去最高額とのことです。

日本製鉄は足元大手企業としては配当利回りの高い株の一つに数えられます。180円を基準とすると、2023年2月28日時点の配当利回りは約5.9%に達します。

同業他社のJFEホールディングス(5411)の約4.7%(2023年2月28日、株価1686円(終値)、配当見通し年間80円)と比較しても相対的に魅力的な配当利回りです。

4. 【日本製鉄の株価】鉄鋼市況や為替の影響度合い、配当の動向に注目を

日本製鉄の足元の株高の背景には、厳しい局面にも耐え、充分な収益を計上できる強固な事業基盤、財務基盤への期待感があると考えられます。

そのため、今後もし鉄鋼市況や為替相場の観点から厳しい事業環境を迎えたとしても、同業他社対比で安定した業績を維持できるかが株価を見通すうえでのポイントとなりそうです。

また、配当も注目です。

2022年度は180円という史上最高の配当額となる見通しですが、2019〜2020年度は配当額が年間で10円だったように、近年見るだけでも業績に応じて配当を積極的に変動させているのが日本製鉄の特徴となっています。

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出所:日本製鉄株式会社「株主還元・配当」

出所:日本製鉄株式会社「株主還元・配当」

配当の増減が株価に影響を与える可能性も念頭においておいた方がよいでしょう。
 

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参考プレスリリース

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制作:株式会社モニクルリサーチ

参考資料

宮野 茉莉子