3.2 厚生年金の年金月額「男女差のリアル」
厚生年金(男性)平均月額:16万3380円
厚生年金(女性)平均月額:10万4686円
グラフから、厚生年金の受給額分布には大きな男女差があることが分かります。平均額は約6万円ほど男性のほうが高いですね。ボリュームゾーンは男性が17万~18万円、女性が9万円~10万円となっています。
現役時代に支払う厚生年金の年金保険料は収入に応じて決まり、それが年金加入期間とともに老後の年金額を左右します。つまり、高収入だった人ほど年金額も高くなる傾向が、こうした個人差・男女差が生じる背景としてあるわけです。
こうなると「給料がなかなか上がらない……。自分の将来の年金額も少ないのでは?」と気になる方も少なくないでしょう。
とはいえ、終身雇用や年功序列の制度が崩れつつあるいま、実績によって報酬が決まる「成果主義」を取り入れる企業も増えています。
資格の習得などによりスキルを磨く、年収アップが狙える企業へ転職するなど、自分自身でキャリアと収入を上げるための努力を行うことで選択肢は広がるでしょう。
預貯金をしっかり準備するのと同時進行で、資産運用を通じて「お金にも働いてもらう」しくみ作りを実践していくのも一案です。
4. まとめにかえて
今回は、国民年金・厚生年金の受給額事情を、個人差・男女差に着目しながら見ていきました。
年金支給額は物価や賃金を考慮しながら毎年見直しが行われます。また、将来的に現状の年金制度自体が改正される可能性もあるでしょう。
とはいえ、わたしたちひとりひとりの「老後への備え」は、一朝一夕で終わるものではありません。働き盛りの若いことからコツコツと進めていく必要があります。
まずは情報収集からスタートしましょう。セカンドライフの安心感に繋がる資産づくりを、無理なくコツコツと進めていけるとよいですね。
参考資料
- 財務省「令和5年度の国民負担率を公表します」(2023年2月21日)
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2022年12月)
- 厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」
鶴田 綾