【育休中のリスキリング問題】岸田首相が招いた誤解
今回話題となった大きな原因は、「育児中にリスキリングできる余裕なんてない」のが本当のところだからでしょう。
リスキリングを実際に行うには、新たな知識やスキルを身につけるためのまとまった時間を、定期的にとる必要が出てきます。また、新たなものを学習して身につけるだけの体力や集中力なども必要になるでしょう。
しかし産後の女性の体が元に戻るまでには、時間がかかるもの。ワンオペ育児が主流の現代では、親は子どもにつきっきりとなり、特に子どもが小さな頃は文字通り「目が離せない」状況です。
乳幼児期は夜間授乳や夜泣き対応もあり、慢性的な寝不足状態にもなる時期。「子どもが小さいうちは家事もままならない」というのがワンオペ育児の実情でしょう。
また、お子さんの性格や特性によっても、育児にかかる時間は左右されやすいもの。親側も産後に風邪を引きやすくなったり、持病を抱えたりといった場合もあり、個人差も大きくなります。
まずは睡眠時間、次に自分の時間、リスキリングはその後の後、というのが現場の意見ではないでしょうか。
また、育休にリスキリングを結びつけることで、「育休中=リスキリングできる余裕がある」と捉えられてしまう危険もあります。
特に妊娠、出産、育児に関しては見えない部分が多いもの。個人差も大きいため、誤解されやすい部分が多いのです。
よくあるのが、つわりが辛くて寝ている女性に対して、男性が寝てばかりと捉えてしまうというようなすれ違いですが、同様のことが多岐にわたって起こりやすいのが妊娠~育児期です。
「育休中にリスキリングできる余裕がある」と捉えられてしまうと、夫婦や家族、友人、職場などさまざまな人間関係ですれ違いや思い違いが起きる懸念もあります。