40歳代は多くの場合、将来のライフプランが固まる時期ではないでしょうか。
結婚するかしないか、子どもの人数、住宅の取得などがはっきりしてくるため、老後資金の目標も立てやすくなると考えられます。
40歳代は老後資金の具体的な目標設定をして、できる範囲で準備を始める好機といえそうです。
金融庁が公表している「NISA・ジュニアNISA利用状況調査」によると、2022年9月末時点の40歳代のつみたてNISAの口座数は約170万口座で全体の24.7%です。
20歳代から40歳代の口座数は全体の73%で、つみたてNISA利用者の中心は40歳代をはじめとする資産形成層であることがわかります。
今回は40歳からつみたてNISAと新NISAのつみたて投資枠を利用して老後資金を準備する場合の資産額のシミュレーションや、つみたてNISAの商品選びなどについて解説します。
2024年から「つみたてNISA」は新NISAの「つみたて投資枠」へ
2024年からNISAは新しい制度になり、現行のつみたてNISAを始められるのは2023年までです。
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出所:金融庁「新しいNISA」「つみたてNISAの概要」から筆者作成
新NISAでは現行ではどちらか1つしかできなかったつみたてNISAと一般NISAが統合され、併用できるようになります。
つみたてNISAは新NISAでは「つみたて投資枠」に引き継がれ、非課税期間が無期限になります(制度自体も恒久化される)。
また、今までは年間40万円だったつみたてNISAの非課税投資枠は、120万円と大幅に引き上げられます。新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠(旧一般NISA)を合計して1800万円の一生涯の非課税保有限度額が新設されます。
現行ではつみたてNISAで800万円までが上限だったため、必要資金の多くを非課税投資で準備できるようになります。
しかも、資産を引き出すと買付額ベースで非課税投資枠が復活するので、実際には1800万円以上の投資が可能です。
現行のつみたてNISAは2024年以降、新NISAとは非課税枠が別枠となります。
新規の買付はできなくなりますが、2023年までに買付けた分は非課税で保有し続けられます。
つまり、2024年を待たずに2023年からはじめたほうが有利と言えるでしょう。
40歳からつみたてNISAで老後資金準備をいくら準備できるか
では、つみたてNISAと新NISAのつみたて投資枠を活用して、40歳から老後資金の積立シミュレーションをしてみましょう。試算には金融庁の資産運用シミュレーションを使用します。
まず、定年までの20年間に毎月3万円ずつ年利3.0%で運用するケースです。
20年間の投資元本720万円に対し、運用益は約265万円上乗せされ、元利合計は約985万円となります。
40歳から準備を始めて約1000万円の老後資金を準備できるわけです。
65歳までの積み立てをシミュレーション
現在40歳代の人は定年の引き上げなどで、60歳で完全にリタイアする人は少ないと考えられます。65歳まで働いて同じ積み立てを5年間延長したら、いくらになるでしょうか。
20年の積立を25年に変更すると、元本900万円に対して運用益は約438万円で、元利合計は約1338万円です。
元本が1.25倍に増えるのに対し、運用益は約1.65倍となります。これは運用益を元本に組み入れる複利効果によって、効率的に運用できるためです。
投資なので必ずこのように増えるとは限りませんが、運用する期間が長いほど複利の効果を得やすいことがわかるのではないでしょうか。
家計に余裕がなくて少ししか積立てられないとしても、早くはじめたほうが有利と言えるでしょう。
【NISA】節税になるのはいくら?
NISAの最大のメリットは運用益に対して税金がかからない点です。同じ運用を特定口座などの課税口座で行った場合、利益に対して20.315%の税金がかかります。
先述した試算で、60歳までの20年間の265万円の運用益には約54万円の税金がかかり、手取りは約211万円になります。65歳までの25年間の438万円の運用益にかかる税金は約89万円で、手取りは約349万円です。
約20%の税金とは決して小さな金額ではなく、NISAの非課税メリットは資産形成の強い味方といえるでしょう。
以上の結果を表にまとめると、以下のとおりです。
【毎月3万円を年率3%で積立てるシミュレーション】2/2
出所:筆者作成
老後資金準備のお手本にしたいGPIFの運用
さて、つみたてNISAで老後資金準備を始めるにあたって、投資未経験者はどんな商品を選ぶとよいかがわからないかもしれません。
そこで参考にしたいのが、公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)です。
GPIFの2001年度から2022年度第3四半期までの運用収益率は年率3.38%です。約20年間には単年の収益率が大きなマイナスとなった年もありますが、長期ではまずまずの収益となっています。
つみたてNISAのような長期の投資は、値動きのある商品を長期間運用すると安定した成果が期待できることを前提にしています。つまり、運用の基本的な考え方はGPIFと共通するのです。
GPIFの公表する基本ポートフォリオは以下のとおりです。
GPIFの基本ポートフォリオ
- 国内債券:25%
- 外国債券:25%
- 国内株式:25%
- 外国株式:25%
GPIFの運用は、4種類の資産を均等な配分で分散投資するのが基本です。
つみたてNISAの投資対象の投資信託は、バランス型ファンドという、複数種類の資産に投資する商品があります。バランス型ファンドは1本の商品で自分に合った分散投資ができるので、初心者にも適した商品です。
つみたてNISAで購入できるバランスファンドには、GPIFのように4資産に均等に分散投資する商品もあります。商品選びが難しい人は、とりあえずGPIFを参考にはじめてみるのも一つでしょう。
ただし、運用商品には値下がりがつきもので、元本割れする可能性もあります。あまり短期の値動きにとらわれず、コツコツ続けていくとよいでしょう。
2024年を待たずに2023年からつみたてNISAを始めよう
2024年からNISAが新しくなるというと、今ははじめないで新NISAから取り組もうと考える人もいるでしょう。
しかし、積立投資は早く始めるほど効果的です。可能であればつみたてNISAの口座を開設し、できる範囲で老後資金の積み立てをはじめるといいでしょう。
そうした行動の積み重ねが、将来まとまった資産となっていくのです。
参考資料
松田 聡子
