3. 厚生年金の手取り金額をシミュレーション

厚生年金から各保険料や税金が天引きされると手取りはいくらになるのか、次の条件でシミュレーションしてみましょう。

  • 66歳男性(1956年生まれ)
  • 住所:神奈川県藤沢市
  • 厚生年金受給額:月額14万6000円(年額 175万円)
  • その他の収入なし

3.1 厚生年金の手取りシミュレーション1.国民健康保険料

毎月の厚生年金受給額が14万6000円として、その他の所得がない場合、「令和4年度藤沢市国民健康保険料試算ページ」に当てはめると、国民健康保険料は以下のように計算できます。

出所:藤沢市「令和4年度藤沢市国民健康保険料試算ページ」をもとに筆者作成

したがって、介護保険料を含む国民健康保険料は、毎月約4000円天引きされることがわかります。

3.2 厚生年金の手取りシミュレーション2.所得税

所得税を求める際には、課税所得を計算する必要があります。

このケースでは年額175万円を受給していますので、下表の「公的年金等に係る雑所得の速算表」の「110万円超330万円未満」の欄の計算式を使います。

<公的年金等に係る雑所得の速算表(65歳以上)>

出所:国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」をもとに筆者作成

課税所得は「収入金額の合計ー110万円」で計算するので、175万円から110万円を差し引くと65万円と計算できます。そこから「基礎控除48万円 」を差し引くと課税所得は17万円です。

課税所得金額が1000円から194万9000円までの所得税率は5%なので、所得税額は8500円(17万円×5%)です。

3.3 厚生年金の手取りシミュレーション3.住民税

住民税の計算における基礎控除は43万円なので、課税所得は22万円(65万円ー43万円)です。

住民税は誰でも等しく負担する「均等割」と所得に応じて負担する「所得割」があります。

藤沢市の「均等割」は5300円で、「所得割」は税率が10.025%なので約2万2000円(22万円×10.025%)となり、均等割と所得割の合計で約2万7300円を住民税として納付します。

3.4 厚生年金の手取りシミュレーション合計金額

このケースでは、厚生年金受給金額175万円から、国民健康保険料約4万7450円・所得税8500円・住民税2万7300円(合計8万3250円)を差し引いて、手取り額は166万6750円と計算できます。

つまり、年間受給金額175万円から保険料や税金で約8万円天引きされ、手取りが約177万円になることがわかります。

なお、扶養控除や医療費控除などの控除があれば税金がさらに安くなり、非課税になる可能性もあります。