現役時代に会社員や公務員などだった方は、公的年金として国民年金を含む厚生年金を受給することになります。

厚生年金がいくら受給できるのか気になるところですが、実際には現役時代の所得や加入年数などによって、人により金額が異なります。

ご自身がいくら受給できるかは、ねんきん定期便などで確認することができますが、記載されている金額がもらえるとは限らず、保険料や税金などが天引きされるとその分手取りが減ってしまいます。

そこでこの記事では、厚生年金から天引きされるものの種類や対象者などについて解説するとともに、厚生年金の平均受給額やそこから天引きされるものや実際の手取り額をシミュレーションしていきます。

【注目記事】【年金】みんな「厚生年金と国民年金」は本当は月いくらもらっているのか

1. 厚生年金から天引きされるもの4つ

厚生年金から天引きされるものには「介護保険」、「国民健康保険料」、「後期高齢者医療保険料」、「住民税」があり、対象者に当てはまる方は年金から天引きされます。また、所得が一定金額以上の場合は「所得税」が差し引かれます。

では、それぞれの保険料や税金について、天引き対象者の条件などを確認していきましょう。

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出所:日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」をもとに筆者作成

出所:日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」をもとに筆者作成

主に、このようなものが厚生年金から天引きされます。

2. 厚生年金の平均受給額は月約14万円

冒頭でも触れたように、厚生年金の手取り額は現役時代の所得や厚生年金保険の加入期間などによって個人ごとに異なります。しかし、目安として平均額を知りたい方もいるでしょう。

厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和3年度の受給者の平均年金受給額は14万5665円でした。年額にすると約175万円です。

約175万円がそのまま受給できれば良いですが、条件に該当する場合、介護保険料や国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、住民税、所得税が天引きされます。

では、保険料や税金が天引きされて、最終的に手取りはいくらになるのか、次章で具体的に計算していきましょう。

3. 厚生年金の手取り金額をシミュレーション

厚生年金から各保険料や税金が天引きされると手取りはいくらになるのか、次の条件でシミュレーションしてみましょう。

  • 66歳男性(1956年生まれ)
  • 住所:神奈川県藤沢市
  • 厚生年金受給額:月額14万6000円(年額 175万円)
  • その他の収入なし

3.1 厚生年金の手取りシミュレーション1.国民健康保険料

毎月の厚生年金受給額が14万6000円として、その他の所得がない場合、「令和4年度藤沢市国民健康保険料試算ページ」に当てはめると、国民健康保険料は以下のように計算できます。

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出所:藤沢市「令和4年度藤沢市国民健康保険料試算ページ」をもとに筆者作成

出所:藤沢市「令和4年度藤沢市国民健康保険料試算ページ」をもとに筆者作成

したがって、介護保険料を含む国民健康保険料は、毎月約4000円天引きされることがわかります。

3.2 厚生年金の手取りシミュレーション2.所得税

所得税を求める際には、課税所得を計算する必要があります。

このケースでは年額175万円を受給していますので、下表の「公的年金等に係る雑所得の速算表」の「110万円超330万円未満」の欄の計算式を使います。

<公的年金等に係る雑所得の速算表(65歳以上)>3/3

<公的年金等に係る雑所得の速算表(65歳以上)>

出所:国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」をもとに筆者作成

課税所得は「収入金額の合計ー110万円」で計算するので、175万円から110万円を差し引くと65万円と計算できます。そこから「基礎控除48万円 」を差し引くと課税所得は17万円です。

課税所得金額が1000円から194万9000円までの所得税率は5%なので、所得税額は8500円(17万円×5%)です。

3.3 厚生年金の手取りシミュレーション3.住民税

住民税の計算における基礎控除は43万円なので、課税所得は22万円(65万円ー43万円)です。

住民税は誰でも等しく負担する「均等割」と所得に応じて負担する「所得割」があります。

藤沢市の「均等割」は5300円で、「所得割」は税率が10.025%なので約2万2000円(22万円×10.025%)となり、均等割と所得割の合計で約2万7300円を住民税として納付します。

3.4 厚生年金の手取りシミュレーション合計金額

このケースでは、厚生年金受給金額175万円から、国民健康保険料約4万7450円・所得税8500円・住民税2万7300円(合計8万3250円)を差し引いて、手取り額は166万6750円と計算できます。

つまり、年間受給金額175万円から保険料や税金で約8万円天引きされ、手取りが約177万円になることがわかります。

なお、扶養控除や医療費控除などの控除があれば税金がさらに安くなり、非課税になる可能性もあります。

4. まとめにかえて

厚生年金の平均受給額は、令和3年度において月額約14万6000円で、年額に計算すると約175万円です。

しかし、この金額が満額もらえるわけではなく、介護保険や国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、住民税、所得税などが天引きされます。

天引きされた分手取り金額が減ってしまうため、老後の生活費を準備する際には、天引きされる金額の目安を知り、その分をプラスして準備しておくと安心でしょう。

なお、配偶者控除や社会保険料控除、医療費控除などをもれなく控除することで税金を安くできる可能性もあるため、忘れずに控除を活用しましょう。

参考資料

木内 菜穂子