1. なぜ?老後に働くと年金が減額されるワケ

そもそも「収入を増やすために働いているのに、なぜ年金が減額されるのか」と不思議に思う人も多いのではないでしょうか。

これは、「働くことで一定以上の賃金を得ている60歳以上の老齢厚生年金受給者」を対象とした在職老齢年金の仕組みがあるからです。

1954年に厚生年金保険法が全面改定したころの老齢年金は「退職した人」を支給要件としていたため、「そもそも在職中の人には年金は支給しない」という考え方でした。

しかし1965年の改正を機に「働きながら年金を受け取れる対象」を65歳以上、65歳未満と長い年月をかけて拡大してきました。

ただし、在職老齢年金を支給するにあたっては、年齢のほか「年金と合わせてどのくらいの収入があるか」という基準も設けられています。

これにより、老後も一定以上の賃金を得ている(基準を超えた)場合は年金が減額されることになります。

当初と比べると働きながら年金を受給できる人は増えているのですが、今の制度だけを切り取ると「働くほど年金が減額されて損」な状況に映っているといえます。