なぜ日本の平均年収はほとんど変わっていないのか
日本人の平均年収は、過去30年の間ほとんど変わっていません。
30年前の1992年と比べると、平均年収は下がっています。
なぜ日本人の平均年収は横ばいで推移しているのでしょうか。考えられる理由を2つ見ていきましょう。
経済があまり成長していない
以下の5カ国の1990年から2020年までの平均賃金とGDPの推移を見ていきます。
- 日本
- アメリカ
- イギリス
- フランス
- ドイツ
OECD(経済協力開発機構)のデータベースによると、日本、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスの1990年から2020年までの賃金の推移は以下のとおりです。
1990年時点では、日本はアメリカ、ドイツに次ぐ第3位でしたが、各国の賃金が緩やかに上昇する中で日本は大きな変化なく横ばいで推移しています。
次に上記5カ国の1990年と2020年時点のGDPを見ていきましょう。
世界銀行のデータベースによると、上記5カ国の1990年から2020年までのGDP推移は以下のとおりです。
日本以外の国が過去30年間で経済成長に伴い賃金が上昇している一方で、日本では経済がほとんど成長しておらず、賃金が伸びていない理由の一つと考えられます。
転職者が多いわけではない
最近では「終身雇用が崩壊した」と言われていますが、労働者の転職は盛んといえるほどではないでしょう。
2022年8月31日に公表された厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」によると、年代別の入職率と離職率は以下のとおりです。
また、「転職入職者が前職を辞めた理由」について、給与水準に不満があって退職した人は男性で7.7%と全体の第6位、女性で7.1%で7位となっており、必ずしも転職が所得を増やす手段にはなっていないでしょう。