「住民税非課税世帯」を耳にしたことはありませんか。

住民税非課税世帯を対象に、国や自治体のサービスが限定して行われることがあります。

政府から住民税非課税世帯等に「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」として、5万円の緊急支援給付金の支給が公表もされたことも記憶に新しいでしょう。

私たちは働いて一定の収入を得ると、前年の収入に応じて住民税を納めます。しかし住民税が非課税になるケースがあります。住民税が非課税になる条件にはどのようなものなのでしょうか。

今回は住民税のしくみと非課税世帯の要件について、さらに住民税非課税世帯に対するさまざまな支援策や助成について解説します。

【注目記事】「住民税非課税世帯」年収はいくらが目安?給付金・助成の種類も確認

1. 住民税非課税世帯とは

住民税とは、居住する都道府県および市区町村に納める税金で、「市町村民税」と「都道府県民税」を合わせた税金のことです。

条件によっては住民税非課税世帯となり、住民税の免除をはじめさまざまな優遇措置を受けられる場合があります。

1.1 住民税のしくみ

住民税は、居住する自治体ごとに一律に課税される「均等割」と個人の所得に応じて課税される「所得割」の合計額を納めます。

均等割とは、一定の収入のある、その地方に住んでいる人全員が支払う税金で、所得にかかわらず同じ額を納めます。均等割は5000円程度です。

所得割とは、所得の額に応じて課せられる税金で、課税所得額の10%(※)になります。詳細は各地方自治体によって異なります。

※市民税6%、県民税4%の計10%(政令指定都市の場合は市民税8%、県民税2%)

1.2 住民税非課税世帯に該当する人とは

住民税非課税世帯は、世帯全員が住民税の「所得割」と「均等割」の両方非課税である世帯です。東京都の「個人住民税」を参考に見ていきましょう。

【所得割が非課税の条件】

前年中の総所得金額等が下記の金額以下の方

  • 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合 :45万円以下
  • 同一生計配偶者及び扶養親族がいる場合:「35万円×(扶養している人の数+1)+42万円以下」


【均等割が非課税の条件】

均等割がいくらで非課税になるかは、それぞれの地方自治体によって条件が異なります。東京23区を例にとると以下の3点のいずれかに該当する人です。

  1. 生活保護を受けている
  2. 年間の所得額が45万円以下
    同一生計配偶者及び扶養親族がいる場合、35万円×(扶養している人の数+1)+31万円以下
  3. 障害者、未成年、寡婦(夫)のどれかに該当する人で、所得135万円以下
    給与所得のみなら年収約204万4000円未満

この所得割と均等割が非課税になる条件のそれぞれに該当すると、住民税が非課税となります。

市区町村によって条件が異なるので、詳しくはお住まいの自治体で確認しましょう。

2. 住民税非課税世帯をの年収の目安を世帯構成別にみてみよう

住民税が非課税になるという人はどのような人が該当するのでしょうか。3つのケースを見ていきましょう。

2.1 【住民税非課税世帯】独身の年収の目安

「同一生計配偶者または扶養親族がいない」独身の場合は、所得が45万円以下であれば住民税非課税になります。

アルバイト、パートを含め給与所得者で収入がおよそ162万5000円以下の場合、55万円の給与所得控除が受けられるので、年収100万円以下であれば所得が45万円以下となり住民税は課税対象になりません。

2.2 【住民税非課税世帯】配偶者と子ども1人の年収の目安

配偶者(妻または夫)や子どもがいる場合でも、収入が少なければ住民税は非課税になります。

配偶者(無収入)と子どもが1人いる人は、合計所得金額が135万円以下(給与額約204万円以下)であれば住民税は0円です。

例:年収204万円-給与所得控除(※)69万2000円=所得134万8000円

※参考:国税庁「給与所得控除」

2.3 【住民税非課税世帯】未婚でシングルマザーの年収の目安

ひとり親で育てる場合、夫と死別や離別したのち未婚の女性(寡夫)であれば、前年の合計所得額が135万円(給与収入約204万円)以下の人ならば住民税非課税の対象になります。

しかし「婚姻歴のない」シングルマザーは対象外となっていて、年収が低くとも住民税を払わなければいけませんでした。

令和3年(2021年)度から未婚のひとり親に対しても住民税非課税制度がスタートしました。年収の要件は寡婦の場合と同じです(対象となる条件があります)。

3. 住民税非課税世帯への優遇措置3つ

住民税非課税世帯は住民税が免除される以外にも、さまざまな助成を受けることができます。今回は3つご紹介します。

3.1 国民健康保険の保険料減免、高額医療費負担の軽減

住民税非課税世帯は、国民健康保険の保険料の所得に応じた減免制度が各自治体で行われています。

高額療養費制度についても、通常の負担額よりも低く設定されています。

「高額療養費制度」とは、月の医療費の自己負担額が高額になった際、自己負担限度額を超えた分が払い戻される制度です。自己負担限度額は、収入額や年齢などによっていくつかの水準で設定されています。

70歳未満の住民税非課税世帯は、世帯ごとのひと月の上限額が「3万5400円」(※)と決まっています。

※厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

3.2 2歳未満の保育無償化

「幼児教育・保育の無償化」によって、3歳~5歳児の幼稚園や保育所、認定こども園などの利用料は原則無料ですが、0~2歳児については対象外のため有料になっています。

住民税非課税世帯の場合には、この0~2歳児にかかる幼児教育、保育にかかる利用料も無料となります。

3.3 大学など高等教育を受ける支援

教育費において費用が高額になるのは、やはり大学で学ぶための費用です。

住民税非課税世帯の場合、大学無償化制度を利用できるため、大学や短大、専門学校など制度対象校は令和4年で3175校(※)あり、授業料や入学金が免除もしくは減額されます。

(※)参照:文部科学省「高等教育の修学支援新制度の対象機関リスト」 

また日本学生支援機構から、学生生活費として給付型奨学金を受けることもできます。

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出所:文部科学省 「高等教育の修学支援新制度」をもとに筆者作成

出所:文部科学省 「高等教育の修学支援新制度」をもとに筆者作成

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出所:文部科学省 「高等教育の修学支援新制度」をもとに筆者作成

出所:文部科学省 「高等教育の修学支援新制度」をもとに筆者作成

このほかにも、情勢に応じた対策も取られることがあります。

その他、自治体が独自に行っている支援もあります。お住いの自治体での助成制度があるか、チェックしてみるとよいでしょう。

4. まとめ

住民税非課税世帯とは住民税が課税されない世帯のことで、世帯構成などによって非課税となる年収額が異なります。市区町村によっても異なります。

収入の少ない世帯への助成、支援措置があることを知っておくことは大切です。納税者からみると「うらやましい」と感じる助成策もありますが、住民税が非課税であっても、医療や教育が十分に受けられなくなることを防ぐための公的支援です。

ひとり親であっても大学進学の道を選べる、高齢単身者や失業者など「働きたくても働けない」世帯でも医療などの必要な助成を受けることができます。受けられる支援策を知らなくて機会を逃すことがないようにしたいものです。

参考資料

高橋 禎美