2. 【世帯年収別】50歳代「無貯蓄世帯」の割合と、貯蓄の中央値はいくらか

さきほどのデータでは、50歳代・二人以上世帯の23.3%が無貯蓄(貯蓄ゼロ)世帯であることがわかりました。

では、この無貯蓄世帯の割合は世帯年収によってどう変わるでしょうか。引き続き同調査の結果より、50歳代の「無貯蓄世帯」の割合と、貯蓄額の中央値を、世帯年収ごとに確認していきます。

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和3年調査結果」をもとにLIMO編集部作成

表から、「世帯年収が低いほど無貯蓄世帯の割合が高い」傾向は読み取れます。

年収が300万円を下回る世帯では、約40%もの世帯が貯蓄ゼロ。中央値も15万円です。年収が300万円~500万円未満の世帯においても、約35%の世帯が貯蓄ゼロ、中央値が100万円。

とはいえ、年収が1000万円を超える世帯においても、無貯蓄世帯は1割程度存在します。高収入であるがゆえに、生活レベルも高かったり、出ていくお金が多かったりする世帯もあるでしょう。

また、収入が高いと、社会保険料や税負担が増える、各種公的支援(高校授業料の無償化など)の対象外になるといった事情も出てきます。

とはいえ、世帯年収1000万円のラインを超えても約1割が無貯蓄世帯という現実は、看過できない点といえるでしょう。この層の貯蓄の中央値は1000万円を超えるものの、まったく貯蓄ができていない世帯も存在するわけです。

家族構成や居住地、ライフスタイルなどにより貯蓄に回せる額には世帯差があります。とはいえ、限られた収入の中から「着実に」貯蓄を続ける習慣は、一生ものの財産となり得ます。

リタイヤ後の年金生活は、現役時代よりも少ない収入でやりくりする必要がある世帯がほとんどでしょう。お金を使う目的、そして貯める目的をしっかり持ちながら、じょうずに家計管理をしていきたいものです。