ファミマ、独自ポイント導入か?

ファミリーマート(以下、ファミマ)は現在Tポイントを採用していますが、独自ポイントの導入を検討しているとの観測が出ています。しかし、ファミマからそのような発表があったわけではありません。

この観測の背景には、2017年6月5日付け朝日新聞DIGITALに、ユニー・ファミリーマート・ホールディングス(8028)を傘下にかかえる伊藤忠商事(8001)の岡藤社長のインタビューが掲載されたことに端を発しています。「ポイントによる利益流出を問題視し、その対策を早急に検討している」という趣旨の内容です。

さらに2017年6月15日、伊藤忠商事、ファミリーマート、LINE(3938)の3社が次世代店舗開発で業務提携を行ったこともこの観測に勢いを与えているのでしょう。

Tポイントの課題とは

ファミマ店舗のレジに行くと、必ずTポイントカードの提示を求められます。レジで並んでいる段階でTカードを準備するのが習慣化している方も多いのではないでしょうか。

これほどファミマではTポイントが定着していますが、課題も抱えていると思われます。2つほど挙げてみましょう。

第1はポイント費用の負担です。

買い物のたびにポイントを付与するとその分負担が発生します。この負担に見合って客数が増えたり、客単価が高まればよいのですが、岡藤氏の発言から察するに、そのような費用対効果には疑問がありそうだと察することができます。

第2は事務負担です。

Tポイントのポイント付与(ないし利用)と清算という二重の作業負担はレジの作業効率を著しく悪化させます。コンビニの店舗業務が複雑するなかで人手不足問題に直面し、店舗の収益性に課題が出る中、費用対効果がわかりにくいと思われる現在のTポイントの仕組みをゼロベースで見直すのは正しい考え方だと思われます。

現在のTポイントは「期間固定Tポイント」という指定された店舗等でしか利用できない(つまりファミマでしか使えない)ポイントを発行することができますので、費用負担の問題はある程度打開策がありそうですが、プラスチックカードベースのメディアと業務効率についてはこのあたりで見直しすべきでしょう。

LINEとの提携の可能性

先ほど触れたファミマとLINEとの業務提携では、「AMAZON GO」を意識した次世代型店舗、すなわちスマホベースで顧客1人1人にリアルタイムで商品提案ができたり、レジ事務が自動化・簡便化されるようなアイデアを盛り込んでいくと言われます。

LINEであればLINE PAYを活用することでポイント付与・利用と決済をシームレスに行うことができるでしょう。業務効率の改善に大いに期待ができそうです。

商品と体験こそ本質的競争力

とはいえ、そもそも「ぜひ買いたいもの」「目新しいもの」がないと、いくら顧客とのインターフェースが改善されても消費者の支持は得られません。ファミマにはなおいっそうの商品強化を期待したいところです。

LIMO編集部