「東京一極集中」は是正が必要

さて、東京一極集中の問題は、日常生活における混雑等の問題に加え、防災上の問題も深刻化させています。地震国日本にとって極めて重要な課題だといえるでしょう。

大地震が東京で発生したら、どんなことが起きるでしょうか。

帰宅難民が歩道にあふれ、乗用車が道路を埋め尽くし、火災が発生しても消防自動車が動けない……。こうした状況は容易に想像できます。

問題は「東京に住んでいる人が多すぎる」という点でしょう。東京在住の人はすべて過密の「被害者」であると同時に、過密を作る「加害者」でもあるわけです。

しかし、人々は東京に住むかどうかを判断する際、過密を作る「加害者」側になることは計算に入れないでしょう。

つまり、我々が東京に住んでいることは公害と同じ類の、難しい言葉で言えば「外部不経済」なのです。

企業が生産続行を判断する際には、自分の売上と費用を比較し、他人に対して迷惑をかけているかどうかは二の次となるでしょう。それと同じですね。

では、公害を出して他人に迷惑をかけた企業をどう扱うべきでしょうか。

周囲が被っている迷惑の分だけ、罰金を課せば良いのですね。

仮に、企業が100万円稼いでおり、周囲が10万円分しか迷惑を被っていないというケースで考えてみましょう。

操業を禁止してしまうのはもったいないので、10万円の罰金を課し、それを被害者に渡せば、企業と周辺住民はWin-Winの関係になりますね。

ここで、5万円しか稼いでいない企業であれば、罰金を払うくらいなら操業を停止するでしょう。ここでもやはり、周辺住民は満足するわけです。