2. 雑所得にはない事業所得のメリット

事業所得と雑所得の違いを簡単に言えば、事業を営んで生じた所得が「事業所得」、事業所得を含め他のどの所得にも当てはまらないものが「雑所得」です。

雑所得と比較すると、事業所得には税制上でさまざまなメリットがある特徴もあります。ここでは、雑所得にはない事業所得のメリットについて解説します。

2.1 青色申告制度を利用できる

青色申告制度は確定申告における種類の一つで、事業所得・不動産所得・山林所得のある人が利用できる制度です。

青色申告を選択するためには、事前に青色申告承認申請書を提出したり、正規の簿記により記帳したりする必要があります。

対象者が限定されていて記帳などの手間はかかりますが、青色申告を選択すると節税効果の高い特典が受けられます。

青色申告制度で代表的な特典が、青色申告特別控除です。複式簿記での記帳や青色申告決算書の作成、e-Taxによる電子申告等の要件をクリアすると、最大65万円の控除が受けられます。

課税対象となる所得から控除されるため、節税につながるという仕組みです。

記帳方法等の条件に応じて、控除額は10万円・55万円・65万円に区分されています。

経費として計上できるものが少ない事業の場合は特に、青色申告特別控除による恩恵は大きいでしょう。

また、事業所得等が赤字である場合、青色申告であれば損益通算しても控除しきれない部分の金額を翌年以後3年間にわたって繰り越すことが可能です。

さらに、前年も青色申告をしている場合は、翌年以降の繰り越しではなく、前年に繰り戻すこともできます。純損失の繰り越し・繰り戻しにより、前年や翌年以降の節税につなげられるメリットがあるのです。

ほかにも、青色申告制度には青色事業専従者給与を必要経費に算入できること、一定の貸倒引当金を経費として計上できることなどもメリットとして挙げられます。

このような節税につながる青色申告制度のさまざまな特典は、雑所得にはない事業所得のメリットだといえるでしょう。

2.2 他の所得と損益通算ができる

事業所得の場合は給与所得等と損益通算することが可能です。事業所得が赤字の場合は損益通算することにより課税対象となる所得が少なくなるため、節税につながります。

さらに、先ほど解説したように、青色申告を選択していれば損益通算で控除しきれなかった部分の繰り越し・繰り戻しも可能です。

一方、雑所得の場合は他の所得と損益通算することはできません。副業等で雑所得が赤字になった場合は、所得金額ゼロとして取り扱われます。

事業所得であれば他の所得と損益通算できるため、雑所得にはないメリットだといえるでしょう。