もう少しで年末を迎えます。休暇になる方が多いこの時期に考えたいのが「老後のマネープラン」について。

50歳代になると老後のマネープランが気になる人も増えてくるでしょう。最近は、晩婚化や生涯独身で過ごす人の増加などで各家庭の貯蓄事情もさまざまです。

一般的には1000万円以上の貯蓄がある人も多いといわれますが、実際のところはどうなのでしょうか。

この記事では、最新のデータから50歳代の貯蓄事情を紹介し、老後に向けたマネープランの立て方と資産形成の考え方を解説します。

50歳代で貯蓄1000万円以上の割合は何パーセントか

最初に各年代の金融資産保有額の分布を紹介します。

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出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[各種分類別データ](令和3年)」をもとに筆者作成

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[各種分類別データ](令和3年)」をもとに筆者作成

やはり年代が上がるごとに、貯蓄額が増えているのがわかります。

しかし、どの年代にも金融資産なしの世帯が一定数存在し、資産形成ができている人との間に大きな格差が生じています。

50歳代で1000万円以上の貯蓄がある世帯は全体の31%と、全体の約3分の1でした。ただし、金融資産なしの世帯も26.3%と3分の1近くあります。

このデータによる50歳代の金融資産額の平均は1305万円で、50歳代で1000万円は1つの目安ともいえるでしょう。ただし、より実態に近い中央値は350万円とばらつきの多いことがわかります。

50歳代ではキャリアを積んで収入が増え、独身だったり子育てが終わったりで貯蓄に回すお金に余裕がある世帯も多くなります。一方、子どもが遅く生まれて教育費のピークを迎える世帯もあるでしょう。

老後資金準備の必要性はどの世帯も共通ですが、資金の余力には差があるのです。

年金生活者の月の収支はいくらか

50歳代となると老後の生活が気になってくる頃です。貯蓄が順調な人もそうでない人も一旦、何歳までにいくら貯めるかの目標を設定しましょう。

目標設定の基準となるのが老後の生活費の収支です。ここでは、公的なデータから老後に必要な資金の目安を紹介します。

個別の詳細な収支は、ねんきん定期便や現在の家計から見積もってみるとよいでしょう。以下は、65歳以上の高齢者世帯の家計収支です。

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出所:総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」より筆者作成

出所:総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」より筆者作成

このデータによると夫婦世帯の平均持ち家率が91.6%となっており、持ち家を前提とした消費支出と考えられます。よって、老後に賃貸住宅で暮らす予定の人は家賃を支出の中に含めましょう。

毎月の収支の赤字30年分は夫婦世帯666万9000円、単身世帯は338万4720円です。あくまでデータ上ではありますが、生活費の不足分なので最低限準備すべき金額と考えられます。

この金額に住居のリフォーム費用や子どもへの援助、施設の入居費などの一時金を加えたものが老後に向けて準備すべき金額です。

何歳まで働くかによりますが、生活費の不足分を補うためだけなら1000万円あればまかなえるかもしれません。しかし、働いて収入を得られない老後にもまとまったお金が必要なライフイベントはあります。それらを見込んで計画的に資産形成をしていきましょう。

50歳から1000万円を貯めるための積立額をシミュレーション

50歳で資産ゼロの人が年金の受け取れる65歳までに1000万円を貯める場合、毎月いくらを貯蓄に回せばよいでしょうか。

15年で1000万円を貯める場合の年利別の積立額を紹介します。なお、計算には金融庁の「資産運用シミュレーション」を使用しました。

50歳から1000万円を貯める場合の年利別の積立額

  • 0.002%・・・5万6000円(1008万円)
  • 1.0%・・・5万2000円(1009万円)
  • 2.0%・・・4万8000円(1006万円)
  • 3.0%・・・4万5000円(1021万円)
  • 4.0%・・・4万1000円(1008万円)
  • 5.0%・・・3万8000円(1015万円)
     

0.002%とは現在の主要な金融機関の定期預金の金利で、この金利での運用益は15年間でわずか2000円です。

やはり15年という長期間を活かして、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAで多少のリスクを取って増やしていきたいところです。

同じ1000万円を貯める場合でも、年利0.002%と3.0%では積立てる金額が1万円以上違います。

iDeCoやつみたてNISAは元本保証ではありません。しかし、短期的な値動きを気にせずにコツコツ積立てていけば、まとまった資産形成が期待できる制度です。

iDeCoの加入期間は60歳までですが、60歳以降も社会保険に加入して働く人や国民年金の任意加入者は65歳まで加入できるようになりました。

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出所:国民年金基金連合会iDeCo公式サイト「2022年の制度改正の概要」

出所:国民年金基金連合会iDeCo公式サイト「2022年の制度改正の概要」

また、つみたてNISAには年齢制限はありません。このような制度を上手に活用して老後資金を準備していきましょう。

50歳から老後に向けて計画を立てよう

50代では30%以上が貯蓄1000万円以上であることがわかりました。貯蓄が順調な人に対し、金融資産がない人も少なくありません。

しかし、老後資金に回すお金があまりない人もいるでしょう。

その場合でもできる範囲で老後資金を積立て、余裕ができたところで貯蓄額を増やすことが大切です。無理のない老後資金準備のために、大まかでも計画を立てましょう。

参考資料

松田 聡子