銀行は、中小企業向け融資に際して経営者の個人保証を要求する場合が少なくありません。政府はそれを制限する方針のようですが、制限はかえって中小企業を困らせると懸念されます。(経済評論家 塚崎公義)。
銀行は経営者保証を要請
銀行は、融資をする際に回収の確実性を重視します。消費者金融は回収が不確実な融資でも実行しますが、それとはビジネスモデルが異なるのです。
当然、その分だけ消費者金融の金利は高く、銀行の貸出金利は低いわけです。そこで、時として借り手企業の経営者に個人保証を求めることがあります。
借り手企業が倒産しても経営者の個人資産から回収すればよい、という趣旨ですが、放漫経営をしていると自分の個人資産を失いかねない、という緊張感を経営者に持ってもらうという意味合いもあるようです。
個人保証は、借り手にとっては好ましくないもので、廃止を望む経営者は多いでしょう。また、個人保証を怖がってビジネスチャンスがあるのに借金を諦めているという企業も多いはずです。
そこで、政府が個人保証を制限する方向で検討していると伝えられており、そのことを歓迎する向きも多いでしょう。しかし、それは本当に中小企業にとって好ましいことなのでしょうか。
筆者は大いに疑問だと思っています。個人保証がもらえないなら融資をしたくない、という銀行が多ければ、中小企業が融資を受けにくくなる可能性があるからです。