政府は出産育児一時金について、子ども1人につき原則42万円だったものを、2023年度から50万円程度に引き上げる方向で検討すると各種メディアで報じられました。

少子高齢化に対する政策とされていますが、一方で年々高まる社会保険料や上がらない賃金、今年に入っての物価高、教育費の高さなどもあり、経済的な面だけでも少子化の改善は難しいといえるでしょう。

実際に一般的な子育て全盛期世代といえる30~40歳代の世帯は、どれくらい貯蓄を保有しているのでしょうか。

30~40歳代の意外と多い貯蓄ゼロの割合を確認します。

30歳代の貯蓄はいくらか。貯蓄ゼロ世帯は約2割

今回は金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)各種分類別データ」をもとに、30歳代・二人以上世帯からみていきます(こちらは子育て世帯だけでなく、すべての世帯は含まれます)。
 

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出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)各種分類別データ」をもとにLIMO編集部作成

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)各種分類別データ」をもとにLIMO編集部作成

30歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)

  • 平均:752万円
  • 中央値:238万円

30歳代の平均は752万円ですが、これは一部の富裕層の影響を受けています。円グラフをみると貯蓄1000万円以上の世帯が約2割いますね。

一方で、より実態に近い中央値は238万円まで下がります。

貯蓄「ゼロ世帯」が22.7%、「100万円未満」が11.5%、「100~200万円未満」も9.9%となっており、十分な貯蓄がない世帯も多いことがわかります。

40歳代の貯蓄ゼロは30歳代よりも多い結果に

次に40歳代の貯蓄も確認しましょう。

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出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)各種分類別データ」をもとにLIMO編集部作成

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)各種分類別データ」をもとにLIMO編集部作成

40歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)

  • 平均:916万円
  • 中央値:300万円

40歳代の貯蓄分布をみると、30歳代よりも貯蓄ゼロが24.8%と多いことがわかります。

お子さんが小学生~高校生の方も多いと思いますが中央値は300万円となっており、子育て全盛期である30~40歳代の家計の余裕の無さがみて取れました。

出産費用の平均はいくらか

最後に厚生労働省「出産育児一時金について」より、出産費用の平均を確認します。

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出所:厚生労働省「出産育児一時金について」

出所:厚生労働省「出産育児一時金について」

出産費用(2019年)平均値・中央値

  • 全体:46万217円・45万1120円
  • 公的病院:44万3776円・44万530円
  • 私的病院:48万1766円・46万7805円
  • 診療所:45万7349円・44万9300円

※公的病院とは、国公立病院、国公立大学病院、国立病院機構など
※私的病院とは、私立大学病院、医療法人病院、個人病院など
※診療所とは、官公立診療所、医療法人診療所、個人診療所、助産所など

実際には出産やその後の母子の状態などにより個人差ありますが、現状の中央値でもこれまでの出産育児一時金の42万円ではまかないきれないため、今回の増額検討の必要性がわかるでしょう。

まとめにかえて

30~40歳代の貯蓄を確認することで、子育て全盛期世代の貯蓄の厳しさがわかりました。

少子化対策には出産育児一時金増額のほか、教育費や賃金といった部分でも対策していく必要がありそうです。

また、経済面以外での対策も急務となるでしょう。

参考資料

宮野 茉莉子