FPから真田さんへのアドバイス1:60歳までは現状維持して老後資産3000万円を目指す
真田さんが現在保有されている金融資産は約1000万円。このまま、定年退職までの残り8年間、ほぼ今のまま、貯蓄を続けた場合、だいたい1000万円資産が増えることになり、合計2000万円(投資商品の評価額が変動となることは考慮せず)になります。
さらに、退職金1000万円を加えると、真田さんが60歳になった時点での保有金融資産は約3000万円になります。
現在、真田さんのお母様は75歳、8年後は83歳です。その間に、真田さんがご心配されるような、身体的または、認知的な衰えにより介護状態になる可能性はあるといえます。
その際、頼るとすれば、同じ新潟県にお住いのお姉さまとなりますが、状況をお聞きした限りでは、積極的なアシストを期待するのは難しいかもしれません。
このような状況から、真田さんご自身が「早期退職」を視野に入れていらっしゃるのだと思います。
早期退職制度を利用すると、退職金が割増しされることが多くあります。また、自己都合ではなく、会社都合で退職でき、雇用保険から支給される失業手当(基本手当)が有利にもらえます。
しかし、真田さんの保有資産の状況を考えるならば、60歳までは現在のお仕事を続け、老後資産3000万円を目指すのがベターと思われます。その理由として、以下の2つがあげられます。
(1)50歳代で仕事を辞めると地元で同水準の給料がもらえる再就職先は見つかりにくい
真田さんの今のお仕事での年収は650万円です。今後、現状の年収を維持できれば、着実に老後資金を作ることができそうです。
しかし、50歳代で地元に戻り、同レベルの給料がもらえる再就職先を見つけるのは至難の業です。もし見つかっても、もらえる給料は大幅に下がると考えられます。
また、地方は車が必需品。車の購入という一時的ですがまとまった出費が発生することで、せっかく貯めたお金が目減りします。
(2)65歳から受け取れる厚生年金が減る
地元に戻り、直ぐに再就職先が見つからないこともあるかもしれません。また、再就職したとしても、給料が下がってしまえば、自身が掛ける厚生年金が少なくなります。
65歳からもらう老齢厚生年金は、加入期間や年収が影響するため、加入期間が少なくなったり、年収が下がったりすれば、将来もらえるはずの年金も減ります。
以上のことを考え、60歳までは今の会社で仕事を続けましょう。もし可能であれば、賞与の手取りの2~3割ほどを貯蓄にまわせれば、さらに安定した老後資産を準備できます。
定年後、再雇用になったときの給料や業務内容を確認してから、地元に戻るかどうか検討するようにしましょう。