11月も下旬となり、年末に向けて出費が続く家庭もあるでしょう。物価上昇が追い打ちをかけ、思うように家計管理ができない方も多いのではないでしょうか。
今回は、具体的な事例をもとに「マネー相談」をお届けします。
相談者である真田さん(仮名)は、50歳代の男性。東京の会社に勤務して、ひとり暮らしをされています。現在お勤めの会社は、60歳で定年退職となり、その後、65歳まで再雇用で働くこともできるそうです。
しかし、現状、新潟市でひとり暮らしをしているお母様(75歳)も年齢を重ねれば相応な衰えが見えてくるはず。もし、今後、体調に大きな変化があれば、早期退職も考えなければならない…。
実際、そのような決断が可能かどうか知っておきたいとのことでした。保有されている資産と、状況を踏まえ、真田さんへのアドバイスをまとめました。
真田さんのご家庭の家計状況(収入・支出)をFPがチェック
真田さんの現在の状況について、おおまかな情報を教えてもらいました。
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LIMO編集部作成
相談者:真田さん52歳(独身・会社員)の状況
東京で賃貸住宅・ひとり暮らし
母:75歳 新潟市一戸建て(家屋は築35年)厚生年金:約10万円、貯蓄:詳細不明
姉:54歳 同じ新潟県内に住んでいる。嫁ぎ先から実家まで、車で40分ほどかかる。舅、姑と同居。家業をしている家に嫁いだため、仕事・家事に忙しい日々である。実母のことは心配だが、なかなか様子を見に行けない状況にある。
収入 月手取り:31万円
年収(手取り):約650万円(約527万円)
月収(手取り):約37万5000円(約31万円)
ボーナス年間(手取り):約200万円(約155万円)
貯蓄 合計:610万円
普通預金:150万円
定期預金:460万円
投資 合計:390万円
国内株式:270万円
つみたてNISA:120万円(月額3万3000円)
退職金
60歳定年時、約1000万円を受取る予定
支出 月間:31万円
家賃等:7万5000円
電気水道料金:1万2千円
通信費:2万円
食費 :3万円
保険料:1万円(医療保険・がん保険)
趣味・娯楽費:2万円
雑費 :1万円
貯蓄 :8万3000円
母へ送金:3万円
月末残るお金:2万円(毎月、1~2万円ぐらい)
ボーナスの使いみち
月1回、帰省しており、交通費や諸経費などで使用。
そのときどきで、必要と思われるものにお金を使っている。もしかしたら、ムダ遣いしている部分もあるかもしれないが、ケチケチするのも嫌なので、あまり細かく管理していない。
FPから真田さんへのアドバイス1:60歳までは現状維持して老後資産3000万円を目指す
真田さんが現在保有されている金融資産は約1000万円。このまま、定年退職までの残り8年間、ほぼ今のまま、貯蓄を続けた場合、だいたい1000万円資産が増えることになり、合計2000万円(投資商品の評価額が変動となることは考慮せず)になります。
さらに、退職金1000万円を加えると、真田さんが60歳になった時点での保有金融資産は約3000万円になります。
現在、真田さんのお母様は75歳、8年後は83歳です。その間に、真田さんがご心配されるような、身体的または、認知的な衰えにより介護状態になる可能性はあるといえます。
その際、頼るとすれば、同じ新潟県にお住いのお姉さまとなりますが、状況をお聞きした限りでは、積極的なアシストを期待するのは難しいかもしれません。
このような状況から、真田さんご自身が「早期退職」を視野に入れていらっしゃるのだと思います。
早期退職制度を利用すると、退職金が割増しされることが多くあります。また、自己都合ではなく、会社都合で退職でき、雇用保険から支給される失業手当(基本手当)が有利にもらえます。
しかし、真田さんの保有資産の状況を考えるならば、60歳までは現在のお仕事を続け、老後資産3000万円を目指すのがベターと思われます。その理由として、以下の2つがあげられます。
(1)50歳代で仕事を辞めると地元で同水準の給料がもらえる再就職先は見つかりにくい
真田さんの今のお仕事での年収は650万円です。今後、現状の年収を維持できれば、着実に老後資金を作ることができそうです。
しかし、50歳代で地元に戻り、同レベルの給料がもらえる再就職先を見つけるのは至難の業です。もし見つかっても、もらえる給料は大幅に下がると考えられます。
また、地方は車が必需品。車の購入という一時的ですがまとまった出費が発生することで、せっかく貯めたお金が目減りします。
(2)65歳から受け取れる厚生年金が減る
地元に戻り、直ぐに再就職先が見つからないこともあるかもしれません。また、再就職したとしても、給料が下がってしまえば、自身が掛ける厚生年金が少なくなります。
65歳からもらう老齢厚生年金は、加入期間や年収が影響するため、加入期間が少なくなったり、年収が下がったりすれば、将来もらえるはずの年金も減ります。
以上のことを考え、60歳までは今の会社で仕事を続けましょう。もし可能であれば、賞与の手取りの2~3割ほどを貯蓄にまわせれば、さらに安定した老後資産を準備できます。
定年後、再雇用になったときの給料や業務内容を確認してから、地元に戻るかどうか検討するようにしましょう。
FPから真田さんへのアドバイス2:お母様が介護状態になった場合を想定し準備しておく
お母様のご年齢は75歳。お元気な方も多いですが、万一、介護が必要になった場合、慌てることのないよう、以下の2つを準備しておきましょう。
(1)予算にあった施設があるか調べておく
万一、介護が必要になったときは「介護保険制度」を利用します。7段階に分かれている要介護度のいずれかの認定を受けることで、受けられる介護サービスや負担するサービス費の上限(利用限度額)が変わってきます。
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出所:厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」
もし、真田さんのお母様に介護が必要になった場合、施設での介護を検討することもあるでしょう。
その際、民間の有料老人ホームを利用することになれば、入居一時金や月額利用料などの費用がかかります。
いろんな施設があり、かかる費用も施設ごとに違いがあります。できれば、「10万円(お母様の厚生年金)+3万円(真田さん送金分)=13万円」ぐらいで利用できる施設があれば、大きな負担になることはありません。
もしもの場合に備えて、施設利用にかかる費用を調べておきましょう。
(2)お母様の様子を把握できるよう、姉弟間、実家のご近所との連絡網を作る
お母様のことで、お姉さまと真田さんとの連絡体制は整っているはずです。しかし、お母様と離れて暮らしているため、いつも目が届いているわけではありません。
そんなときは、実家のご近所の人たちに協力をお願いしましょう。幸い、真田さんは、月に1回は帰省されているとのことなので、ご近所などと顔を合わせる機会もあるはずです。
帰省したときに、隣人や町内の民生委員などに挨拶しておくとよいでしょう。
また、民間の見守りサービスも便利です。離れて暮らす親の様子を、センサーなどで知らせてくれるものがあります。見守りサービスを利用すれば、親の状態をある程度把握することができます。
マネー相談アドバイスのまとめ
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Freedom Studio/shutterstock
真田さんの老後資金を作るのは、今しかないと思います。
60歳までは、現在のご勤務先を大事にされるとよいと思います。
お母様の今のご様子は、お元気そうですし、ご近所やお姉様と連絡を密にしながら、お見守りをされるとよいのではないでしょうか。
一人で抱え込まず、地域などの連携先を探しましょう。
参考資料
舟本 美子
