11月も半分が過ぎ、2022年も終わりに近づいてきました。

年末には祖父母の家に行き、お年玉をもらう思い出がある方も多いでしょう。

一昔前、「おじいちゃん・おばあちゃんは家にいる」というイメージが強く、年末年始だけでなく両親が不在のときに預かってもらう家庭も多いものでした。

しかし、最近では働くシニアが急増しています。宮城県では職員に2023年1月から「孫休暇」が導入される方針など、祖父母世代でも働いていることが当たり前になりつつある現代。

70歳代はどれほどの貯蓄を備えているのか気になる方もいるのではないでしょうか。実は、70歳代でも「貯蓄ゼロ」が多いことがわかりました。

今回は公的な調査より、70歳代の貯蓄事情を円グラフで見ていきます。

70歳代以降の貯蓄額「平均と中央値」に大きな差

まずは金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」から、70歳以上世帯の貯蓄額を見ていきます。

70歳以上・二人以上世帯「金融資産保有額」(金融資産を保有していない世帯を含む)

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出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」

  • 平均:2209万円
  • 中央値:1000万円

平均値では2209万円なので、2019年に話題となった「老後2000万円問題」を一見クリアしているように思えます。

しかし、中央値に着目すると1000万円と半分以下に下がります。

中央値とは貯蓄額が少ない順、または多い順に並べたときに全体の真ん中にくる金額のこと。より実態に近い数字だと言われています。

平均値はどうしても、富裕層などの大きな値に引っ張られてしまうものです。

平均値と中央値で乖離がある場合、貯蓄がある人とない人の格差が大きいことが予想されます。次の章で、貯蓄額ごとの人数を見ていきましょう。

70歳代以上の貯蓄格差。貯蓄ゼロも実は多い

同調査から、70歳代以上・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)の分布をチェックしていきましょう。

70歳代以上の貯金事情・二人以上世帯「金融資産保有額」の分布(金融資産を保有していない世帯を含む)

  • 金融資産非保有:18.3%
  • 100万円未満:4.5%
  • 100~200万円未満:3.8%
  • 200~300万円未満:3.1%
  • 300~400万円未満:4.5%
  • 400~500万円未満:2.0%
  • 500~700万円未満:5.4%
  • 700~1000万円未満:5.6%
  • 1000~1500万円未満:10.3%
  • 1500~2000万円未満:6.0%
  • 2000~3000万円未満:11.9%
  • 3000万円以上:22.1%
  • 無回答:2.6%

中央値である「貯蓄1000万円以上」を達成しているのは、約半分であることがわかります。

さらに、約2割が「金融資産非保有」、つまり貯蓄ゼロであることが浮き彫りとなりました。同じく約2割が3000万円以上の金融資産を保有していることから、貯蓄格差がうかがえます。

平均値と中央値の乖離から見えたとおり、70歳代の貯蓄は、大きく二極化しているといえそうです。

退職金の有無、さらには相続も大きく影響するでしょう。しかし現役世代からの積み重ねも明確に表れた結果と言えます。

バブルを経験した世代にとって、その時代の資産の守り方も影響したのかもしれません。

「老後2000万円問題」の本質

先程も触れた「老後2000万円問題」ですが、そもそも本当に必要な金額なのでしょうか。実は、「2000万円」というのは全員にあてはまる数字ではありません。

「2000万円」という数字が生まれた根拠について、金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回 厚生労働省提出資料)から見ていきましょう。

老後2000万円問題の試算根拠

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出所:金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回 厚生労働省提出資料)をもとにLIMO編集部作成

出所:金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回 厚生労働省提出資料)をもとにLIMO編集部作成

  • 実収入(主に年金):20万9198円
  • 実支出(主に食費):26万3718円

月々の赤字額=約5万5000円

老後必要額=5万5000円×12カ月×30年(老後30年と仮定)=1980万円≒約2000万円

つまり、無職の夫婦が老後を30年生きるにあたり、年金だけでは2000万円が足りなくなるという試算なのです。

ただし、こちらの収支は2017年の統計をもとに算出されたものです。さらに家族構成や居住地などは人によって様々なので、実際に必要となる金額はやはり個人で異なります。

当時「2000万円」という金額が大きく取り上げられたため、数字が独り歩きしている印象があるものの、冷静に個人の必要資金を試算する必要があるでしょう。

とはいえ、2000万円という数字は決して大きすぎる金額ではありません。

標準的な生活をする無職世帯の赤字額が2000万円とすると、年金が減少傾向にあり、賃貸住まいが増え、さらにインフレが進む今後の社会において、2000万円以上が必要になる可能性も十分あるのです。

年金だけで生活できない高齢者は75.1%

もう一つ押さえておきたいシニアの現状があります。それは、年金だけで生活できる人は圧倒的に少ないということです。

2022年9月9日、厚生労働省から公表された「2021年 国民生活基礎調査の概況」によると、「公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%」の世帯はたった24.9%でした。

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出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」

出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」

残りの75.1%は、稼働所得や財産所得、仕送りや個人年金などで補填していることがわかったのです。

2年前の調査では100%生活できる高齢者が48.4%だったので、今後も減少していく可能性が高いです。

老後に向けて、年金以外の資産を自分で作る必要があるといえます。

まとめ:70歳の貯蓄格差から考えるマネー計画

今回は70歳代の貯蓄の実態を見ていきました。貯蓄がある人、ない人の二極化がグラフで明確になりましたね。

貯蓄ができなかったのはなぜ?と疑問に思うかもしれませんが、教育費や住宅ローンに追われ、開放されたときには定年退職が目前。ということは往々にしてあります。

人生には貯め時、支出時があるので、ライフプランをしっかり立てたマネー計画がとても大切です。

同時に、老後資金の準備方法も重要になりますね。預貯金一択では、今の低金利でうまく増やすことが難しくなっています。

あらゆる金融情報をしっかり収集し、計画的に自分に合った方法で準備を始めていきたいですね。

参考資料

太田 彩子