2022年11月8日、政府が後期高齢者医療制度の保険料について、上限の66万円を80万円に引き上げる方針であることが、複数メディアにより報道されました。

後期高齢者医療制度とは、原則75歳以上が加入する公的な健康保険制度です。

年金生活に入った高齢者が多く、その保険料負担は決して軽くありません。一方で、高齢者の医療費はここ数年右肩上がりとなり、その財源をカバーする現役世代の負担も高まっています。

制度の概要を見ていきましょう。

【後期高齢者医療制度】誰が加入し、いくら保険料を払うのか

国民皆保険制度である日本では、誰もが会社の健康保険や国民健康保険など、働き方に応じた公的健康保険に加入しています。しかし、75歳を迎えると誰もが同じ保険「後期高齢者医療制度」に加入することになります。

加入対象者

  • 75歳以上のすべての方
  • 65歳以上の一定の障害のある方

保険料

後期高齢者医療制度の保険料は都道府県によって異なります。例えば東京都の場合、均等割額4万6400円+所得割率9.49%の合計となります。

ただし、これらの保険料には年間の上限があります。現状では年間66万円が上限となっていますが、今回の報道でこの上限額が引き上げられる可能性がわかりました。

後期高齢者の保険料は年々増加傾向に

ただし、上限の引き上げは今回に限ったことではありません。例えば2021年度の年間上限は64万円でした。

これが2022年度には66万円に引き上げられたのです。

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出所:厚生労働省「後期高齢者医療の保険料賦課限度額について」

また、過去10年以上の推移を追っても増加傾向が見て取れます。さらに、現役世代の自営業等が加入する国民健康保険においても、上限額の引き上げは急ピッチで行われています。

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出所:厚生労働省「後期高齢者医療の保険料賦課限度額について」

2008年には限度額が50万円でしたが、2021年には64万円に。今年は66万円に引き上げられましたが、これが80万円と大幅に引き上げられる形です。

ただし、上限に達する年収の目安は当時よりも引き上げられており、その割合は当時より少なくなる見込みとされています。

影響があるのは一部の高所得者のみですが、一方で保険料の水準自体も増加傾向にあります。2022年度と2023年度の保険料は、全国平均で1.8%増加しています。

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出所:厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和4・5年度の保険料率について」

均等割額と所得割の料率によって決定される保険料は、今後も高くなる可能性が高いです。

後期高齢者医療の保険料上限が伸び続ける背景

後期高齢者医療制度の保険料上限がこのように高くなる背景として、医療費の増加があげられます。

年齢を重ねるほどに、病院にかかる機会は増えるもの。すでに団塊の世代が後期高齢者になりつつある現代、その医療費はますます高まるでしょう。

2025年には団塊の世代がすべて後期高齢者となります。加入している高齢者が支払う保険料だけでなく、現役世代が加入する保険や税金からも拠出される運営費は、年々圧迫されているのです。

こうした背景を受け、2022年10月には後期高齢者の医療費負担として「2割負担」が新設されました。

一定の所得がある方は、これまでの1割負担でなく、2割負担で医療を受けるというものです。

年金が主な収入である高齢者にとっては痛い出費となるものですが、一方で現役世代の負担緩和も喫緊の課題です。

今後の高齢社会を考慮すると、こうした改革は今後も進んでいくと考えられます。

老後も保険料や税金の負担は続く

年金生活になると、税金や保険料の支払いが無くなると思っている方がいますが、これは誤解です。

介護保険料や健康保険料は何歳になっても支払い続けますし、基本的には年金から天引きされます。

65歳以上であれば年金額が158万円以上になれば所得税も課税されるため、こうしたお金の負担は意外に重く感じるでしょう。

また、持ち家ではなく賃貸住まいを続けるシニアも増えています。夫婦で施設への入居を考える方もいるでしょう。

もちろん、持ち家であっても修繕費用や固定資産税は必要です。老後を迎えれば生活費が落とせると思っていても、思わぬ出費は続くもの。

後期高齢者の保険料負担も伸び続ける今、「なんとなく」の老後計画はリスクが高いことがわかります。

老後の計画は早くに始める

後期高齢者の保険料負担を始め、介護保険料の負担も今後増えることが考えられます。そうなると、年金の手取りは減ってしまうでしょう。

こうした制度の動向を注視しつつ、老後計画をしっかり立てる必要があります。

老後資金の形成方法として最近はiDeCoやつみたてNISAなどが選択肢にあがりやすいですが、選択肢は多岐にわたります。

低金利の中で効率的にお金を貯めるために、まずはしっかりと金融商品の選択肢を知っておきましょう。それぞれのメリットとデメリットを客観的に把握することで、自分に合う方法で老後資金を貯めていきたいですね。

参考資料