介護保険は自分の貯金から
Aさんのケースでは、介護保険適用となる費用以外にもさまざまなお金がかかりました。その中には絶対に必要だったお金、そして無くても大丈夫だったお金もあります。
それでも自分が老後を迎えたとき、できるだけ希望を叶えたいと思う方はいるでしょう。Aさんは老後に慎ましく生きるつもりでしたが、楽しく生きる祖父を見て刺激をもらったと語ります。
「贅沢だ」と批判する声もあるかもしれませんが、贅沢かどうかを判断するのは自分です。そしてもちろん、それは自分がそれだけのお金を蓄えている場合のみです。
Aさんも祖父が十分な介護費用を貯めていました。「終活」として不動産等の整理をしつつ、自分自身の介護費用を備えていたのです。
そしてそれを支えるのが家族であることを理解し、かなり前から相続の整理等を進めていたとのこと。
本来相続遺産は孫に支払われますが、一番近い義理の息子(Aさんの父)が最も関わることを見越し、生前からお金についての話をしていました。
こうした関係性もあり、できる限り希望に沿った介護が実現したのではないでしょうか。
もちろん、今の高齢者と現役世代では、時代の背景が違うため「祖父ができたから自分もできる」とは言えません。
しかし、介護にお金がかかること、QOLを高めるためにはさらにお金がかかることを意識すると、今後のマネープランのヒントになるかもしれません。
まとめにかえて
実際に家族からみて「完璧な終活」を遂げたAさんの祖父のケースを参考に、介護にかかるお金を見ていきました。
介護度によっても費用は異なりますし、自宅介護か施設介護でも大きく変わります。時代の変化とともに、介護の有様もどんどん変わっていくでしょう。
しかし、「人生を豊かにする」という視点を持つとき、お金はとても重要な側面を持ちます。選択肢が増えるとも言えるでしょう。
一方で、老後資金ばかりを気にして今の生活を我慢しすぎるのもQOLの軽視だといえます。今の生活を守りつつ、将来のお金も確保する。難しいことですが、少しずつ考え始めていきたいですね。
参考資料
LIMO編集部