1. 「繰下げ受給」で年金は8割以上アップできる
年金の繰下げ受給とは、年金の受給開始年齢を65歳よりも後に遅らせることをいいます。
遅くに繰り下げることで、「年金の額面」を増額させることができるのです。
1.1 繰下げ受給をした場合の加算額
具体的には、下記の計算式で年金支給額が増額します。
増額率 (最大84%※1) = 0.7% × 65歳に達した月※2から繰下げ申出月の前月までの月数※3
※1 昭和27年4月1日以前生まれの方(または平成29年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している方)は、繰下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなりますので、増額率は最大で42%となります。
※2 年齢の計算は「年齢計算に関する法律」に基づいて行われ、65歳に達した日は、65歳の誕生日の前日になります。
(例)4月1日生まれの方が65歳に達した日は、誕生日の前日の3月31日となります。
※3 65歳以降に年金を受け取る権利が発生した場合は、年金を受け取る権利が発生した月から繰下げ申出月の前月までの月数で計算します。
1.2 繰下げ増額率の早見表
繰下げ受給をした場合、1ヵ月受給を遅らせるごとに支給額は0.7%ずつ増額されます。
- 66歳0ヵ月:8.4%
- 67歳0ヵ月:16.8%
- 68歳0ヵ月:25.2%
- 69歳0ヵ月:33.6%
- 70歳0ヵ月:42%
- 71歳0ヵ月:50.4%
- 72歳0ヵ月:58.8%
- 73歳0ヵ月:67.2%
- 74歳0ヵ月:75.6%
- 75歳0ヵ月:84%
2022年4月からは、最大で年金受給額を84%も増額できることになりました。保険料の負担は変わりません。
受給の開始時期をずらすことで、年金支給額を大幅に増額できるのです。
しかし、現状で繰下げ受給を利用している方はまだ多くありません。なぜ普及していないのでしょうか。