2022年10月6日、生命保険文化センターより2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」《速報版》が公表されました。

こちらによると、夫婦2人がゆとりのある老後生活を送る場合、必要と考える費用は37万9000円となっています。

月額約38万円といわれても、現役世代でもここまでお金をかけない印象を受けます。多くは持ち家でローンも完済しているため、住居費もかからないでしょう。

子育ても終わっている老後に、なぜこんなに高額なお金が必要になるのでしょうか。

資料から読み解いていきましょう。

ゆとりある老後生活費は約38万円

「生活保障に関する調査」は、18~79歳の男女個人を対象に2022年4月6日~2022年6月10日で実施。面接聴取法で行われました。

本調査で「ゆとりある老後生活費」を聞いたところ、月額で平均37万9000円となりました。

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出所:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査《速報版》」

出所:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査《速報版》」

前回の調査では36万1000円だったので、それを上回る形です。現役世代の方にとって、かなり贅沢な金額に感じるのではないでしょうか。

金額の根拠は、まず老後の「最低日常生活費」として23万2000円。そこにゆとりを持たせるためのお金として14万8000円が必要となり、合計で約38万円になるということです。

ゆとりある老後の費用とは

では、ゆとりある老後を送るための費用とは、具体的にどんな項目を指すのでしょうか。同資料からその回答を見ていきましょう。

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出所:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査《速報版》」

出所:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査《速報版》」

  • 旅行やレジャー:60.0%
  • 日常生活費の充実:48.6%
  • 趣味や教養:48.3%
  • 身内とのつきあい:46.2%
  • 耐久消費財の買い替え:31.7%
  • 子どもや孫への資金援助:19.4%
  • 隣人や友人とのつきあい:12.5%

「老後の楽しみ」としてイメージしやすいのが旅行や趣味です。そうした生活を送るために、月額で約38万円の生活費が必要だと考えられていることがわかります。

老後費用「年金」を見限っている人は多い

現役世代からすると羨ましい限りの数字ですが、それほどまでの高額な金額を「年金」で受け取れるとは思えません。

実際、「自分の老後の日常生活費を公的年金でまかなえると考えているか」という質問項目に対し、「まかなえると思う」は 23.2%、「まかなえるとは思わない」は 73.9%でした。

ゆとりある老後の資金どころか、日常の生活費でさえも年金でまかなえないと考える人が大多数というのが現状です。

また5割以上が「自助努力志向」となり、何らかの老後対策を自助努力で行っていると考えられます。

みんなはどんな老後対策をしているのか

では具体的に、どのように老後の対策を行う人が多いのでしょうか。

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出所:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査《速報版》」

出所:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査《速報版》」

老後対策をしている人はここ数年増加傾向にあり、全体の66.5%。内訳は、

  • 預貯金:49.2%
  • 個人年金保険・変額個人年金保険や生命保険:39.6%
  • 有価証券:10.1%
  • 損保の年金型商品:8.4%

と続きます。

預貯金は半分以下にとどまり、保険商品や資産運用などでも備える方が一定数いるようですね。

現役世代と高齢者、生活費はいくらか

総務省の「家計調査家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要」によると、世帯主の年齢階級別の消費支出は次のとおりです。

  • 20代:15万7758円
  • 30代:23万3078円
  • 40代:28万7801円
  • 50代:28万7933円
  • 60代:25万1343円
  • 70代以上:19万815円

もちろん世帯構成や働き方、収入等によって生活水準は異なります。しかし年齢とともに支出があがり、定年を境に水準が落ちることは一目瞭然ですね。

そんな中、「ゆとりのある老後生活」として38万円という数字を聞くと、贅沢な印象を抱いてしまうかもしれません。

しかし、本来どのような老後生活を送りたいかは人によって異なるものです。理想を叶えるために準備をしている人とそうでない人には、明確な差が表れてしまうでしょう。

「年金の金額が低い」「不平等」という感情を抱くのは昨今の日本で仕方のない風潮があるものの、多くの方がわかっているように自助努力も必要なのです。

現役時代にどれだけ老後対策をしたか、その差で老後のゆとりに違いが出てくるでしょう。

老後の理想を叶えるために

ゆとりある老後生活費は約38万円でした。しかし、これはあくまでも平均値です。必要と考える金額は、実際には個人で異なるもの。大事なのは理想の老後を考えることです。

そもそも、本調査での「夫婦2人の老後の最低日常生活費は月額23万2000円」に関しても、住宅ローンを完済していればそこまで必要ないと考える方もいるでしょう。

一方、賃貸住宅に住んでいる方は最低限の生活費として、約38万円が必要になるケースもあります。

居住地や生活水準が異なる以上、まずは自分の理想とする老後費用を把握しておきましょう。

年金に頼れないと考える現役世代が多い今、自助努力は必須となっています。老後に慎ましく生きるのか、趣味を楽しむのか。理想の老後に向けて、必要となる老後資金を一度じっくり考えてみましょう。

参考資料

太田 彩子