2. 「年金の繰下げ受給」知っておきたいデメリット8点

年金を繰下げ受給すると聞いて、真っ先に思い浮かぶのが「長生きできなかった場合」ではないでしょうか。

75歳まで繰下げるつもりでも、その前に亡くなってしまえば年金が受け取れません。75歳まで生きられたとしても、数年で亡くなればやはりもとはとれないように感じます。

試しに年金月額を14万円と仮定してシミュレーションしてみると、80歳時点までは65歳受給がお得、85歳時点では70歳受給がお得、95歳時点では75歳受給がお得という結果になりました。

最新の平均寿命は、男性が81.47歳、女性が87.57歳であることを考慮すると、繰下げ受給のオトク度が減ってみえるかもしれませんね。

また、日本年金機構が注意喚起する繰下げ受給の確認しておくべき事項も見ていきましょう。

  • 1. 加給年金額や振替加算額は増額の対象にならない。また、繰下げ待機期間(年金を受け取っていない期間)中は、加給年金額や振替加算を受け取ることができない。
  • 2. 65歳に達した時点で老齢基礎年金を受け取る権利がある場合、75歳に達した月を過ぎて請求を行っても増額率は増えない。
  • 3. 日本年金機構と共済組合等から複数の老齢厚生年金(退職共済年金)を受け取ることができる場合は、すべての老齢厚生年金について同時に繰下げ受給の請求をしなくてはいけない。
  • 4. 65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までの間に、障害給付や遺族給付を受け取る権利があるときは、繰下げ受給の申出ができない。

※ただし、「障害基礎年金」または「旧国民年金法による障害年金」のみ受け取る権利のある方は、老齢厚生年金の繰下げ受給の申出ができる

  • 5. 66歳に達した日以降の繰下げ待機期間中に、他の公的年金の受給権(配偶者が死亡して遺族年金が発生した場合など)を得た場合には、その時点で増額率が固定されるため、年金の請求の手続きを遅らせても増額率は増えない。
  • 6. 厚生年金基金または企業年金連合会(基金等)から年金を受け取っている方が、老齢厚生年金の繰下げを希望する場合は、基金等の年金もあわせて繰下げとなる。
  • 7. このほか、年金生活者支援給付金、医療保険・介護保険等の自己負担や保険料、税金に影響する場合がある。
  • 8. 繰下げ請求は、遺族が代わって行うことはできない。繰下げ待機中に亡くなった場合で、遺族の方からの未支給年金の請求が可能な場合は、65歳時点の年金額で決定したうえで、過去分の年金額が一括して未支給年金として支払われる。ただし、請求した時点から5年以上前の年金は時効により受け取れなくなる。

繰下げ受給を選択すれば、後から変更できません。受給開始が遅ければ遅いほど、それまでの生活費の確保も必要となるため、長く働くことも条件となります。

こうした注意点をしっかりと加味して選択する必要があるでしょう。