労働力不足は賃上げ不足
しかし、労働力不足という言葉は、よく考えると変です。経済学の第一歩は「価格は需要と供給が一致する所に決まる(物の値段は買い注文と売り注文の数が同じになるように決まる)」ですから、労働力についても雇いたい人(労働力の需要)と働きたい人の人数(労働力の供給)が同じになるように賃金(労働力の価格)が決まるはずなのです。
そうなれば、労働力の需要と供給が一致して、労働力不足は発生しない筈なのです。
そうなっていないという事は、今の賃金水準が「正しい」賃金水準を下回っているということで、要するに「賃上げが足りないから労働力不足なのだ」という事ですね。
個々の企業にとっては、もっと賃上げすれば必要な労働力が集まる状況なのに、今の賃金で必要な労働力を確保しようとして失敗しているわけです。
それを企業は「労働力不足」と呼んでいるわけですが、筆者に言わせれば、それは「賃上げ不足」なのです。