ソロ社会やソロ活など、おひとりさまを表す言葉が当たり前に使われるようになりました。

インターネットなどで誰かとすぐにつながれる時代、趣味などを通じてできた友人がいたりすると、ソロである方が充実した生活が送れるという人も多いはず。

多様な価値観が認められる今、「結婚する」という選択も「結婚しない」という選択も、どちらもアリと言えるでしょう。結婚しなくてもパートナーとしての選択もありますね。

さらに言うと、そもそも結婚していたとしても離婚や死別ということを考えると、誰もがソロになる可能性はあります。

そんな、いずれはやってくるソロ生活。今を楽しむのも大切ですが、忘れてはいけないのが老後の話。今回は老後になって後悔した女性のAさんの悲鳴を見ていきましょう。

【注目記事】60歳代で「貯蓄ゼロ」は何パーセントか。厚生年金と国民年金の受給額も一覧表で見る

1. Aさん(女性)の厚生年金はいくらか試算

まずはAさんの背景を確認します。Aさんは22歳に会社員として就職、60歳で退職しました。途中、学び直しのため専門学校に通ったり、職を変えたりと、10年間は厚生年金に入っていない期間がありました。

1.1 Aさん:女性65歳未婚

  • 現役時平均年収:300万円
  • 就業開始年齢:22歳
  • 就業終了年齢:60歳
  • 65歳年金受取開始:年金月額10万6000円

※厚生年金未加入の期間10年あり。3年間無職と7年間パート・アルバイトで過ごしていた。

Aさんの年金額は月に10万6000円。現役時代には手取りで月に20万円弱はあった収入と比べギャップを感じます。

現役時代はソロ活を楽しんでいたAさん。老後になり時間にゆとりができたのにも関わらず、生活水準を落とさなければ過ごせないと悲鳴をあげます。

ちなみに、この10万6000円。多いのか少ないのかを、今の女性が受給している厚生年金の平均の金額でも確認しましょう。

2. 厚生年金の平均月額はいくらか

厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、月額の平均受給額も確認します。

全体平均:14万4366円

  • 男性:16万4742円
  • 女性:10万3808円

※国民年金の金額を含む

全体平均では14万4366円ですが、女性は男性よりも少なく、平均は10万3808円となっています。Aさんは特段少ないわけではなく、女性の平均の受給額とほぼ変わりません。

平均は一部の大きい数字に引っ張られる傾向にあるため、受給額ごとの人数でも確認しましょう。

2.1【女性】厚生年金月額階級別の老齢年金受給者数のデータ

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出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

  • 1万円未満:2万8004人
  • 1万円以上~2万円未満:6884人
  • 2万円以上~3万円未満:6万1267人
  • 3万円以上~4万円未満:10万9541人
  • 4万円以上~5万円未満:9万4941人
  • 5万円以上~6万円未満:10万3206人
  • 6万円以上~7万円未満:23万8112人
  • 7万円以上~8万円未満:44万9205人
  • 8万円以上~9万円未満:69万2135人
  • 9万円以上~10万円未満:85万2017人
  • 10万円以上~11万円未満:76万8808人
  • 11万円以上~12万円未満:57万9740人
  • 12万円以上~13万円未満:40万7435人
  • 13万円以上~14万円未満:28万8035人
  • 14万円以上~15万円未満:20万8976人
  • 15万円以上~16万円未満:15万2367人
  • 16万円以上~17万円未満:10万9888人
  • 17万円以上~18万円未満:7万5929人
  • 18万円以上~19万円未満:5万1905人
  • 19万円以上~20万円未満:3万7458人
  • 20万円以上~21万円未満:2万4850人
  • 21万円以上~22万円未満:1万6796人
  • 22万円以上~23万円未満:1万976人
  • 23万円以上~24万円未満:6934人
  • 24万円以上~25万円未満:3951人
  • 25万円以上~26万円未満:2188人
  • 26万円以上~27万円未満:1098人
  • 27万円以上~28万円未満:516人
  • 28万円以上~29万円未満:208人
  • 29万円以上~30万円未満:144人
  • 30万円以上~:375人

1万円刻みに見ることで、9万円以上~10万円未満がボリュームゾーンであることがわかります。

やはり平均で確認しても、ボリュームゾーンで見ても、女性の厚生年金はAさんと同じように10万円程度の人が多いということになります。

それでは、この10万円程の年金で老後は暮らせるのでしょうか。

3. 老後の平均の消費支出はいくらか

総務省の家計調査報告によると、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)消費支出は13万2476円です。

先程の年金額の平均10万3808円と考えると、毎月3万円程は不足することになります。

この不足金額について老後を迎えるまでに準備しておかなければなりませんね。

何歳までの分を用意すれば安心か、女性の平均寿命を例に考えてみましょう。厚生労働省の「簡易生命表(令和2年)」によると女性の平均寿命は87.74歳です。

(87.74歳-65歳)×3万2476円×12ヶ月=886万2050円(小数点以下切り捨て)

平均寿命まで生きたとしたら、900万円弱の貯蓄が65歳時点で必要となることが分かりました。あくまで平均ですが、この金額を現役時代に準備しておいたほうが安心ということになりますね。

4. 厚生年金10万円程で迎える老後

今回はAさんにスポットをあててみましたが、女性の受け取れる年金の平均自体がAさんと同じ程度の10万3808円です。多くの女性がAさんのように老後に年金だけでは厳しいと感じるのではないでしょうか。

ただし、厚生年金の受給額には個人差があります。現在の水準が続くとも限らないため、正確な見込額は「ねんきんネット」などで確認するようにしましょう。ねんきん定期便が届くタイミングで、自身の年金額を確認できれば老後のイメージが湧きやすいですね。

その上でやはり年金額が10万円程度だとわかった場合、老後に向けた対策が必要となります。できる対策としては現役時代に貯蓄するか、長く働くかのどちらかです。

貯蓄については預金だけではなく、つみたてNISAやiDeCoといった制度の利用も考えられますね。そして、長く働くには個人のスキルアップが肝心となるでしょう。

どちらにおいても早期スタートが大切です。必ずやってくる老後のお金の問題。早い時期に行動し、不安を安心へと変えていきましょう。

参考資料

齋藤 英里奈