10月に入り、ますます食料品や日用品の値上げが加速しています。
朝日大学マーケティング研究所が2022年10月6日に公表した調査レポート「物価高に関する消費者意識と行動調査」によると、物価高と聞いて不安を「とても感じる」割合は47.8%、「やや感じる」割合は84.3%と、合計8割以上となりました。
さらに、世帯年収が低い層は物価高による悪影響を受けやすい上に、対策を講じるのも難しい状況であることがわかっています。
定年退職を迎えて年金生活に入れば、ほとんどの方は世帯収入が下がるでしょう。その分生活水準を下げるつもりであっても、ネックになるのが「住居費用」です。
もしも持ち家がない場合、高齢者の生活はどのようになるのでしょうか。今回は一人暮らしのケースで考えていきます。
一人暮らしの高齢者、月収は平均でいくらか
まずは、一人暮らしをする高齢者の平均的な収入を知っておきましょう。
総務省の「家計調査報告 家計収支編2021年(令和3年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の実収入は13万5345円、可処分所得は12万3074円です。
また別の調査である厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均月額は5万6252円(男性:5万9040円、女性:5万4112円)、 厚生年金の平均月額は14万4366円(男性:16万4742円、女性:10万3808円)です。
一人暮らしの高齢者、支出は月平均でいくらか
次に平均的な支出額をみていきましょう。総務省の同調査によると、消費支出は13万2476円となっています。
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出所:総務省「家計調査報告 家計収支編2021年(令和3年)平均結果の概要」
平均額を比べる限り、赤字は月々9402円。数字上は赤字になっても、実際に暮らすとなれば収入内でやりくりできると感じるかもしれません。
ただし、ここで注意したいのが「住居費」です。先程の平均13万2476円の中には、住居費が1万3090円とされています。なぜこれほど安いのでしょうか。
賃貸住まいの高齢者は老後資金に家賃分の上乗せが必要
総務省の統計では、回答者の中に持ち家世帯も含まれます。高齢者では持ち家派が多いため、住居費が「0円」という回答に平均が引っ張られたと考えられます。
今後も賃貸住まいを続けるという方は、老後資金として家賃分の上乗せが必要になります。総務省の「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要」によると、借家の1か月当たり家賃・間代は5万5675円です。
地域によってはもっと抑えることも可能ですが、いずれにしても数万円単位の資金が必要になるでしょう。
高齢者が入居できない物件も
また、一人暮らしの高齢者が賃貸暮らしをするときに注意したいのは「家賃」だけではありません。
孤独死や家賃滞納のリスクから、高齢者の入居が断られるケースもあるのです。保証人として親族等に頼れる場合は選択肢が増えますが、こうしたハードルがあることも念頭に置いておきましょう。
一人暮らしの場合、介護付きの物件を視野に入れることも多いです。こうした施設は一般的に費用も高額となるので、さらに備えが必要になります。
老後の備えは早めに始める
一人暮らしの方が考えておきたい老後資金についてまとめていきました。
今回ご紹介した収入・支出額はあくまでも平均値なので、実際の年金見込額等でシミュレーションしてみることをおすすめします。
支出額を考える際は、将来の住まいを見据えて家賃分も上乗せしておきましょう。持ち家の場合でも、修繕費やリフォーム代が必要になることもあります。
また介護費用も月々の支出と別で用意しておきたいところです。年金が減少傾向にある昨今、退職後に困窮することがないよう今から少しずつ準備を始めていきたいですね。
参考資料
- 朝日大学マーケティング研究所「調査レポート 「物価高に関する消費者意識と行動調査 前編」」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編2021年(令和3年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要」
太田 彩子
