「高額医療負担金廃止案」とは
今回問題となっているのは、「高額医療負担金廃止案」です。高額医療負担金とは、1件あたり80万円を超える高額な医療費がかかったときに、国から国民健康保険に資金の補助をする制度をいいます。
財務省「令和4年度 予算執行調査の調査結果の概要(7月公表分)」によると、高額医療費負担対象額の国保医療給付費に占める割合は年々増加しており、平成18年度と比べると、その割合は2倍近くまで増加しています。
この「高額医療負担金」を廃止し、自治体への負担にするという案が出ているのです。
あくまでも国からの補助を廃止して自治体の負担に移行するという案であり、「医療費を本人負担にしよう」という話ではないため、誤解が先行している印象です。
そもそも、国民健康保険に加入しているのは自営業者やフリーランスなど、勤務先の健康保険に加入していない方のみ。会社等に勤めている方は、協会けんぽや健保組合、共済組合等に加入しているため、そのような方にとっては直接関係のない話なのです。
高額療養費制度はどんな健康保険に加入していても関係あり
一方、多くの方が勘違いしたのが「高額療養費制度」。確かに「高額医療負担制度」と似ているため、高額療養費制度が廃止になると勘違いした方が多いようです。
高額療養費制度とは、1月あたりの医療費が自己負担上限額を上回った場合、その部分を後から還付してもらえる制度です。
つまり、誰もが「1月あたりの医療費の自己負担には上限額以上を負担しなくてもいい」ということです。
肝心の上限額は、年齢や所得によって変わります。たとえば69歳以下で年収が360万円であれば、1月の上限額は5万7600円に収まります。
たとえ100万円を超える高額な医療を受けても、実際の自己負担は5万7600円で済むという制度ですから、多くの方にとってありがたい制度です。
twitter上でも、過去の治療において大変助かったという声が多くあがっています。もしこちらが廃止になるのであれば、大きな痛手となるでしょう。