1. 老後破産者はどれくらいいるのか

そもそも、老後破産は現実的におこるのか、想像しにくい部分ではありますよね。

参考として、日本弁護士連合会・消費者問題対策委員会が47都道府県の50地裁全てを対象におこなった「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」を検証しておきましょう。

破産者全体の負債をおった原因18の選択肢のうち、上位5項目は以下のとおりです。(複数回答可、その他を除く)

  • 生活苦、低所得 61.69%
  • 病気、医療費  23.31%
  • 負債の返済(保証以外) 20.48%
  • 失業、転職 17.58%
  • 事業資金 16.13%
  • 生活用品の購入 14.76%

「破産」という言葉から連想されがちなギャンブルは7.18%、浪費・遊興費は11.37%と「生活用品の購入」よりも低い割合です。

2011年以降、給料の減少を原因とする割合は16.13%→9.60%まで減少傾向にあるため「全体として月収は増加傾向にあるが、家計負担も増加傾向にあり、結果として生活苦に陥っている」と推察されています。

なお、老後の入り口である60歳代の破産者は16.37%。70歳代以上は9.35%となっており、破産者全体の4分の1を占めているようです。

ギャンブルや浪費よりも「生活のためにお金を借りる」人は多く、貯蓄をもたずに老後を迎えることになれば老後破産は他人事では済まないといえるでしょう。