2. 「繰り下げ受給」した場合の増額はいくら?

国民年金の平均額は5万6252円、厚生年金の平均額は14万4366円でした。ここでは増加額がイメージしやすいように、本来の受給額を10万円として計算していきます。

2.1 繰り下げ期間(年齢)と受給額

  • なし(65歳):10万円
  • 1年(66歳):10万8400円
  • 5年(70歳):14万2000円
  • 10年(75歳):18万4000円

70歳から受け取り開始とすると、毎月4万2000円もの増えた年金を受け取ることができますね。

ただし、注意点もあります。繰り下げ受給の場合、長生きをすればよいのですが、自分の寿命とセットで考えなければなりません。

厚生労働省の「簡易生命表(令和2年)」によると、2020年の日本人の平均寿命は以下のとおりです。

  • 男性:81.64歳
  • 女性:87.74歳

81歳までを寿命として受取額を見てみましょう。

2.2 65歳で年金を受け取り開始した場合の総額

月額10万円×12ヵ月×16年(81歳-65歳)=1920万円

2.3 70歳で増加した年金を受け取り開始した場合の総額

月額14万2000円×12ヵ月×11年(81歳-70歳)=1874万4000円

70歳から年金受け取り開始すると毎月4万2000円増えた年金額を受け取れることになりますが、81歳までの受け取りとなってしまった場合は、65歳から10万円を受け取っていたほうが受け取りの総額は大きかったと言えます。

繰り下げ受給が損になるか、それとも得になるかの損益分岐点は、以下のように求めることができます。

100%÷0.7%=142.85
142.85カ月≒約11年10カ月

繰り下げ受給をした場合、受給開始年齢から約11年10カ月を超えると、得だということになりますね。

今を生きる人は人生100年時代と言われています。終身年金であり一生涯受け取れるという安心感もある年金。繰り下げ受給を選択肢の一つとして考えておいても良いかもしれませんね。

では、他に注意点となるものを確認しましょう。