1. 繰下げ受給で年金を増やせる?そのしくみとは
公的年金には国民年金と厚生年金があり、どちらも原則65歳からの受給となります。
65歳から年金を受け取る場合の金額を100%とすると、受給開始を1カ月遅らせると、受け取れる金額が0.7%ずつ増えます。1年遅らせて受給したら8.4%の増額。最長75歳まで繰り下げられ、10年間での増額率で考えると最大84%の増額となります。
開始日を1カ月後にずらすだけで年金額が0.7%ずつ増えるというのは、とても大きいですね。
増額率を確認しましたが、受け取れる年金額はそもそもどれくらいなのか気になります。続いて厚生労働省年金局の「令和元年度(2019年)厚生年金・国民年金事業の概況」の資料をもとに、受給額を確認しておきましょう。
1.1 国民年金の平均年金月額
平均額:5万6252円
1.2 厚生年金の平均年金月額
平均額:14万4366円
※国民年金の月額含む
国民年金の受取額は加入期間に応じてもらえる仕組みになっており、個人差は大きくありません。一方、厚生年金は加入期間だけでなく、現役時代の収入についても年金額に反映される仕組みとなっており、個人差が大きくなります。
では、繰り下げ受給の増加率について、具体的な数字で見ていきましょう。
執筆者
ファイナンシャルアドバイザー/1級FP技能士/宅地建物取引士
龍谷大学経済学部を卒業後、三菱UFJ信託銀行株式会社に入社。おもに富裕層顧客向けに、投資信託、生命保険を活用した資産運用の提案、資産承継に関するコンサルティング営業に従事する。豊富な金融知識を活かし同社のトップテラーとして活躍、1000世帯以上の資産運用に関する相談業務経験をもつ。現在は個人向け資産運用のサポート業務をおこなう。顧客の潜在的なニーズを汲んで、最良の方法を提案することが強み。1級FP技能士、宅地建物取引士、一種外務員資格を保有。
監修者
株式会社ナビゲータープラットフォーム メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
京都教育大学卒業。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部で、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
はたらく世代のお金の診断・相談サービスを行うマネイロでは、「【計算例付】厚生年金保険料はどのように決まる?ケース別算出方法や受給額を解説」など、お金や年金制度にまつわる記事を発信中。京都府出身。(2024年3月18日更新)