食料品や日用品の値上げが相次いでいます。10月にも数々の商品の値上げが発表されており、お財布事情は厳しい状態が続きます。そんな中、税金や保険料の支払いを負担に感じる方も多いのではないでしょうか。
特に年金保険料については、「遠い将来のお金だし」「どうせもらえなさそうだし」というマイナスのイメージから、支払いを後回しにしたいと考える方もいるようです。
しかし年金の保険料にも支払義務があり、税金のように厳しく罰せられることも。
今回は年金保険料を未納にするリスクと、考えうる最悪のシナリオを見ていきましょう。
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1. 国民年金保険料の未納とは
日本は国民皆年金制度をとっているため、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は、公的年金への加入が法律で義務付けられています。
国民年金保険料は、加入資格によって支払い方法が変わります。
- 第1号被保険者:自営業者やフリーランス、無職など。納付書や口座振替等で納付
- 第2号被保険者:会社員や公務員など。国民年金を含む厚生年金保険料を給与天引きで納付
- 第3号被保険者:扶養される専業主婦など。納付の義務はなし
このように整理すると、実質的に未納のリスクがあるのは「第1号被保険者」であることがわかりますね。
毎月の懐事情により、今月だけ支払いを後回しにすることもできてしまうからこそ、未納のリスクをしっかり把握する必要があります。
2. 「年金保険料の未納者」を待ち受ける最悪のシナリオ
もし年金保険料を支払わないで放置してしまうと、どのようなリスクがあるのでしょうか。将来の年金が減る、あるいは全く無くなるというのは、想像がつくかもしれません。
しかし、それ以外にもリスクはあるのです。
日本年金機構の「平成30年度の業務実績の評価」によると、2018年度においては「控除後所得 300 万円以上かつ未納月数7月以上の滞納者に督促を実施する。」とされています。
それでも悪質な滞納が続いた場合、国税庁へ滞納処分等の権限を委任することになります。
実際、2018年度時点における取組状況は次のとおりとなっています。
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出所:日本年金機構「平成30年度の業務実績の評価」
税金と同じように、最悪の場合は差押の対象となるのです。1万件以上が差押となっていることから、軽い気持ちで未納にするリスクの大きさがわかります。
3. 未納のリスクは「老齢年金がもらえない」だけではない
年金保険料を未納にし続けると、年金の受給資格がもらえない可能性もあります。また、「公的年金をもらわなくても自分で老後資金を貯めたらいい」と勝手に判断するのも危険です。
なぜなら、公的年金には「老齢年金」以外に「障害年金」「遺族年金」という保障機能もあるからです。
第1号被保険者の自営業者などは、会社員と比べて健康保険の保障が薄いため、多くの生命保険に加入しているケースが多いです。
しかし、公的年金にもこうした保障機能が備わっています。民間の保険は「公的保障で足りない分を備える」ことが大切なので、まずは公的保障で備えることが原則となります。
また、今は第1号被保険者であっても、どこかのタイミングで第2号被保険者になる可能性もあります。その場合、厚生年金保険料が給与から天引きされます。
ほぼ強制的に保険料を支払うにもかかわらず、これまでの未納期間が長ければ年金自体が受給できない可能性も。まさに払い損となります。
4. 経済的に苦しくて支払えない場合の相談先
もし年金保険料が支払えない場合、一度年金事務所や市区町村の国民年金担当窓口に相談してみましょう。
条件を満たす場合、下記の制度が利用できます。
4.1 保険料免除制度
所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得※1が一定額以下の場合、あるいは失業した場合などで、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、申請して承認を受けると保険料が免除になります。
仮に40年間全額免除となった場合、本来の年金額77万7800円に対し、38万8900円が年額で受け取れます。
4.2 保険料納付猶予制度
20歳から50歳未満※2の方で、本人・配偶者の前年所得※1が一定額以下の場合には、申請して承認を受けると保険料の納付が猶予されます
※1 月から6月までに申請される場合は前々年所得
※2 平成28年6月までは30歳未満、平成28年7月以降は50歳未満が納付猶予制度の対象
何の手続きもせずに未納にしていると、年金は全く受け取れません。しかし免除が認められれば2分の1(税金分)が受け取れますし、納付猶予が認められれば受給資格期間に参入できます。
またケガや病気で障害や死亡といった不慮の事態が発生した場合、障害年金や遺族年金を受け取ることもできます。
5. 国民年金保険料は軽い気持ちで未納にできない
保険料や税金の支払いが家計に負担を与える家庭もあると思います。
しかし、何も対策せずに放置していれば、経済的にもっと困窮してしまうリスクもあります。
公的年金の役割を今一度確認し、本当に苦しい場合は然るべき場所に相談するようにしましょう。
参考資料
太田 彩子
