たとえば、あえて空室率や税金を無視して持ち家を収益目的の不動産投資と考えるなら、自分は5万円の借家に住んで、持ち家を15万円で貸せば、差し引き10万円の家賃を全額毎月のローン返済にあてられます。「賃貸は家賃を払うけど、持ち家は払う必要がないから」という人は、この「帰属家賃」の意味を理解していないことになるわけです。

つまり、家を買うというのは、本来受け取れるはずの家賃を自分で払って住んでいるのと同じということ。結局、持ち家か? 賃貸か?という比較は、「不動産投資を行うか? 行わないか?」という比較になるということです。

50年住んでどっちが得か?

とはいえ、単純に一生でかかるお金を比較してみたくなるのではないでしょうか?

そこで、同じ条件の家に50年間住んだとして、どちらが得か損か具体的な事例で検証してみます。条件は次の通り。

まず、買うケースでは、物件価格3,500万円、頭金500万円、新築分譲マンションの諸経費150万円、ローン3,150万円、固定金利3%、返済期間30年、元利均等返済、管理費1万5,000円、修繕積立金1万円、リフォーム費用は50年間で200万円、固都税*は50年間で約600万円とします(住宅ローン減税等は考えない)。

* 固定資産税・都市計画税

一方、賃貸するケースでは、家賃は50年間を通じて一律12万円。借りる時に敷金、礼金、仲介手数料が合わせて3カ月分、更新料は2年に一度1カ月分支払うとします。

どちらが安く済むかは、家賃や物件価格にもよりますが、このケースでは賃貸より購入の方が多く費用がかかります。しかし、ローン完済後は、お互いの費用の差は縮まり、どちらに住んでも50年後の経済的な負担はほぼ変わりません。