10月よりはじまるパートの社会保険加入の適用拡大。

社会保険に加入するメリットがある一方で、特に30~40歳代のお子さんがいるご家庭では、手取りが減るから扶養を外れたくないという方もいるのではないでしょうか。昨今の物価高では、特にそう考える方も多いと思います。

子どもの看病や通院、習い事の送り迎えに宿題をみるなど育児だけでも時間をかけることは多く、働く時間を増やしたくても、時間と体力的になかなか厳しいもの。

とはいえ、60歳代でも働く高齢者が増えている現代では、長い目で見ればいずれ社会保険に加入したいと考える女性もいるでしょう。

社会保険加入のメリットの一つとして、見逃しがちなのが「厚生年金」への加入です。

厚生年金は収入に応じて保険料を支払うため、受給額に個人差が多いのが特徴です。

今回は社会保険への加入の中でも、厚生年金に視点をあててその受給額までみていきます。

2022年10月、パートの厚生年金適用が拡大へ。メリットは? 

10月からは「被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所」に勤め、以下の要件を満たすことで、パートやアルバイトの方でも社会保険へ加入できるようになります。

  • 1週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 雇用期間が2カ月を超えて見込まれること
  • 賃金の月額が8万8000円以上であること
  • 学生でないこと

ちなみに2024年からは「被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時50人を超える事業所」に変わるため、パートの方の社会保険適用は社会全体として進む流れにあります。

社会保険に加入するメリットとしては、まず「厚生年金」に加入して将来の年金額を増やせること、また障害厚生年金や遺族厚生年金に加入することで、もしもの時の保障が手厚くなる点が挙げられます。

病気やケガで働けない時に出る「傷病手当金」や出産手当金が貰えるのは、子育て世帯にとってもメリットといえるでしょう。

手取りが減るのが懸念。年収120万円でどれくらい減るのか

一方で、社会保険加入のデメリットとして挙げられるのが手取りが減ることです。

厚生年金や健康保険などの保険料を支払うために手取りが減り、また扶養から外れると夫の会社から支払われる家族手当などがなくなる可能性もあるため、特に今は避けたい方も多いでしょう。

参考までに厚生労働省の資料より、厚生年金の年金保険料の月額目安と、将来増える厚生年金の報酬比例部分の年金額の目安(月額)を確認します。

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出典:厚生労働省「パート・アルバイトのみなさま」

目安としてですが、上記によれば、たとえば年収120万円(月収10万円)であれば厚生年金の保険料で月9000円を支払います。

これに健康保険料も支払うわけですが、東京都の協会けんぽの保険料(40歳以上)によれば年収120万円では月5700円。

つまり月収10万円のうち、1万4700円を支払い、手取りは8万5300円となってしまいます。物価高の今、これだけ減ってしまうことを考えると、将来より今のことと加入をためらう人も多いでしょう。

上記の表によると、厚生年金保険料を20年間払えば、将来の厚生年金受給額が年収120万円で1万円、年収150万円で1万2900円、年収250万円で2万500円増えるというめやすが紹介されています。

では、今のシニアはどれくらい受給しているのでしょうか。

厚生年金の受給額。男女差は月約6万円

現代は会社に勤めてから専業主婦やパートになった方が多いため、将来厚生年金を受け取る方も多いと思います。

厚生労働省が2021年12月に公表した「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均月額は以下の通り。

厚生年金の年金月額

全体平均月額:14万4366円

  • 男子平均月額:16万4742円
  • 女子平均月額:10万3808円

※国民年金の受給額を含む。

女性は男性より賃金が低かったり、育児や介護で離職したりするため、男女で月約6万円もの差があります。

1万円未満~30万円以上のひと月の受給人数と金額も一覧表でみてみましょう。

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出典:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

男性のボリュームゾーンは15~20万円の一方で、女性は7~12万円と下がることがわかります。

夫婦であれば2人分ですが、もし夫が亡くなった場合には老後であれば遺族基礎年金は受け取れず、遺族厚生年金のみという場合もあります。

また、年金受給額は2022年度で昨年度より0.4%下がっており、少子高齢化の今はさらに下がることも考えられます。

まとめにかえて

育児中であれば手取りが減るのは痛く、また働く時間を増やすにもそれ相応の覚悟が必要になります。

子どもが小学生までは急な看病や送り迎えもあり、また育児に体力と時間を使うため働く時間を増やすのも難しいでしょう。

ただ現代のシニアは60歳代でも多くの方が働いており、今の現役世代が老後を迎えることには70歳まで働く可能性も考えられます。

長い目で見れば、公的年金は終身で受給できるというメリットもありますし、健康保険のメリットもあるため、加入を検討されてもいいでしょう。

さまざまな角度から社会保険の加入を検討してみてくださいね。

参考資料