米国のインフレは世界の金融市場に悪影響

原油や穀物が値上がりしていることから、世界的にインフレとなっていますが、筆者が特に気にしているのは米国のインフレです。

日本よりも遥かに物価上昇率が高いという事もありますが、米国の金融引き締めは世界の経済や金融市場に与える影響も大きいからです。

アメリカの中央銀行であるFRBは、金利を引き上げて景気を抑えることでインフレを抑えようとしています。景気を悪化させずにインフレを抑えることが出来ればそれが理想ですが、サジ加減が難しいので、金利を上げすぎると景気が悪化してしまうし、金利の上げ方が足りないとインフレが加速してしまう、といった難しい状況にあるようです。

そして、仮に適切な利上げによってインフレが抑制されて景気の悪化も避けられたとしても、やはり世界経済に悪影響が出ることは避けられないのです。

まず、アメリカのインフレが抑制されるためには、需要がある程度減らなければなりません。それが不景気と呼ぶような大幅な落ち込みなのか小幅な落ち込みにとどまるのか、という「程度問題」だということが一つです。

また、アメリカの通貨であるドルは、世界中で使われていますから、アメリカの金利引き上げによって多くの開発途上国が金利上昇に苦しむかも知れません。加えて心配なのは、アメリカの金融引き締めによってアメリカの資金が途上国から引き上げられてしまうことでしょう。

途上国の経済が、資金不足に陥ったり返済のためにドルを買うことでドル高になってインフレになったりすれば、世界的に景気が悪化する可能性もあります。

株式市場では、アメリカの金利引き上げという話を聞いただけで売り注文を出す人が大勢いるので、株価が大幅に下がっています。株価が下がれば、ビジネス界のムードも悪化しますから、経済にもマイナスの影響が心配されますね。